2024 FD JAPAN Rd2 鈴鹿ツイン レポート&リザルト

ウエット路面での追走バトル
今期絶好調のTMS RACINGが2勝目!

テクニカルコーナーで多くのドライバーが苦戦を強いられる、鈴鹿ツインサーキットでの FORMULA DRIFT JAPAN Round.2。予選日ドライ、決勝日ウエットというさらに難しい状況下で行われた。特に決勝日は朝からの雨。しかしそんな悪天候も吹き飛ばす多くのギャラリーの声援を受けながら、41名のドライバーによって争われた。

大接戦となった予選は劇的な逆転で山中真生が制す

第2戦は、開幕戦で2位を獲得した小橋正典、昨年チャンピオンのKANTA、現在アメリカのFORMULA DRIFTにも参戦するスーパー中学生ドライバー箕輪大也、WRCチャンピオンのカッレ・ロバンペラ、スーパーフォーミュラやスーパーGTなどに参戦中の大嶋和也などのスタードライバーが不参戦。しかし開幕戦には姿を見せなかった中村直樹、マシントラブルのためリタイアした齋藤太吾が登場し、予選から熱い戦いが繰り広げられた。

昨年までD1GPで使用していた2JZ搭載のGR86に乗り2番手で登場した中村直樹は、1本目から豪快なドリフトを魅せるもミスを出し、0ポイント。波乱を予感させるスタートとなった。しかしその直後に登場した齋藤太吾選手(SXE10)が82ポイントを出し、序盤から盛り上げる。2022年チャンピオンの松山北斗選手(GR86)はその上をいく86ポイントをマークし、齋藤太吾選手をかわしてトップに立つ。開幕戦から好調をアピールするポップ(GR86)が83ポイント、草場佑介選手(GR86)が85ポイントと80ポイントを超えるも松山北斗選手を抜くことはできない。しかし1本目ラストに登場した髙橋和己選手(E92)が89ポイントを出していきなり3ポイント差でトップに立った。

2本目、中村直樹選手が84ポイント、齋藤太吾が88ポイント、松山北斗もミスを出して0ポイント、ミンミンも87ポイントに終わる。断然、髙橋和己の単走優勝が濃厚かと思われたが、1本目69ポイントだった山中真生(A90)が髙橋和己と同点となる89ポイントを獲得。その後、日比野哲也(エヴァRT初号機 GOODRIDE フェアレディZ)とユキオ ファウスト(S15)が85ポイントをマークするもトップには届かず。

髙橋和己は70ポイント以上獲得すれば単走優勝となる2本目、進入から攻めたドリフトで魅せるもゾーン4からフィニッシュラインにかけてミスを出し、ポイント獲得ならず。単走優勝は逆転で山中真生に決定、髙橋和己は2位に終わった。3位には齋藤太吾が入った。

ハイスピード単走から一変
ウエットで魅せた追走テクニック

ドラマチックだった予選は終始ドライ路面で行われたが、決勝日は朝からの雨でウエット路面でのスタートとなった。予選1位の山中真生は、トップ32で予選32位の真野修一(S13)と対戦。真野修一はミニサーキットを得意とするが、ここは勢いある山中真生が勝ち上がる。さらにトップ16で予選17位の玉川艶哉(JZA80)を倒すと、第2戦から参戦で予選9位の中村直樹と対戦。どんなマシンでも路面でも抜群のコントロールで攻める中村直樹だったが、ここも山中真生が勝ってファイナル4進出を果たした。

予選2位の髙橋和己も、シアム ベンジャミン(JZA80)、葉 志成(A31)を倒しグレイト8進出。グレイト8では、ポップ(GR86)、ユキオ ファウストといった今年乗れているドライバーを倒して勝ち上がる高嶋健市(AVC10)と対戦。髙橋和己はこのグレイト8も勝ち、順調にファイナル4進出を決めた。

予選3位の齋藤太吾は、トップ32で雨谷雄一(S15)と対戦。1本目に雨谷雄一によるクラッシュでマシンに大きなダメージを負うも、メカニックの作業により10分+5分のコンペティションタイムアウトを使い、2本目を走行。見事な走りで勝ち上がりを決める。トップ16では金田義健(GRヤリス)を倒し、グレイト8に進む。グレイト8は予選27位のケングシ(Lexus IS500 Fsports Performance/DRIFT)と対戦。1本目は走り切るも2本目にトラブルを発生。コンペティションタイムアウトもすでに使っており、無念のリタイアとなった。ケングシはファイナル4で2連勝を狙う高橋和己も破り、ウエットでの上手さと抜群の安定感でファイナル進出を決める。

予選4位のミンミン(GR86)は、トップ32で予選29位の益山 航(エヴァRT弐号機 GOODRIDE GRヤリス)下しトップ16に勝ち上がるも、グレイト8で予選13位の松井有紀夫(F22 BMW 220I Mスポーツ)に敗れ、ここでトーナメントから脱落。この松井有紀夫はグレイト8で対戦した予選12位の山下広一(E92)に敗れ、姿を消す。その山下広一は、ファイナル4で絶好調の山中真生と対戦。ワンモアタイムの末、山中真生を破りファイナル進出を果たした。

ファイナルは、3年ぶりの優勝を狙う山下広一と日本での初優勝を目指すケングシの、ベテランドライバー対戦。1本目先行の山下広一は、ハードなウエット路面でもスピードある進入から見事なドリフトを決める。ケングシもベストの走りを見せて応戦。ワンモアタイムと言われても仕方がないくらいの僅差によるジャッジは、山下広一に勝ち名乗りを上げた。3位は初の表彰台となる単走優勝の山中真生が獲得した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 優勝
山下広一(BMW E92)
予選は12位だったが、追走に入ってから乱れぬ走りで強敵を倒し、ファイナル進出。最後までウエット路面とは思えぬ攻めた走りで走り切り、3年ぶりの優勝、TMS RACINGに移籍してからの初優勝を決めた。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 2位
ケン グシ(Lexus IS500 Fsports Performance/DRIFT)
予選前日の公式練習でマシントラブルを発生したが、予選は27位で通過。ウエット路面でも乱れの少ない巧みなコントロールで勝ち上がり、ファイナル進出を果たす。特に後追いでの接近させた走りは見事だったが、山下広一に敗れ2位。

 

 


優勝した山下広一(中央)、2位のケングシ(左)、3位の山中真生(右)。

 

表彰式はパドックに用意されたステージトラックで行われた。賞金ボード(ケンジ・ヤマナカ氏)と副賞ボード(深田真弘氏)を持って審査員も参加した。

 


優勝した山下広一、TMS RACING TEAM GOODRIDEの髙橋監督が仮表彰に駆け付けた。

 


2位のケングシとTeam kazama with Moty’sの風間監督。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 3位
山中真生(A90 スープラ)
単走優勝を獲得し勢いに乗って、ファイナル4まで勝ち進んだ山中真生。しかしファイナル4ではワンモアタイムの末、山下広一に敗れて3位。

 


単走優勝を獲得した山中真生の予選での走り。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 4位
髙橋和己(BMW E92)
予選2位から快進撃を進めるも、ファイナル4でケングシに敗れる。予選1位の山中真生が同じファイナル4で敗れたため、僅差の4位。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 5位
齋藤太吾(SXE10 アルテッツァ)
開幕戦の公式練習中にA90がマシントラブルを発生。開幕戦はリタイアとなったが、今回の第2戦はアルテッツァを投入し参戦。今回もクラッシュによりマシントラブル悩まされ、グレイト8の2本目をリタイア。5位に終わった。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 6位
中村直樹(GR86)
開幕戦は不参戦だったが、今回は予選9位からグレイト8進出を果たす。マシンを自在に操るドリフトスタイルは健在だったが、山中真生に敗れ6位で終了した。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 7位
松井有紀夫(F22 BMW 220I Mスポーツ)
予選13位から予選20位の中村マイキ、予選4位のミンミンを倒しグレイト8に勝ち上がる。グレイト8で山下広一に敗れるも7位を獲得した。

 


FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 8位
髙嶋健市(AVC10 レクサスRC)
予選23位からポップやユキオ ファウストなど勢いある選手を倒してグレイト8に進出。髙橋和己に敗れたものの、今後の活躍を期待させる走りを見せた。

 


開幕戦では予選16位でトップ32敗退だったが、今回は予選4位、決勝トーナメント9位と確実に上向きのミンミン(GR86)。次のエビスラウンドは特に注目したい選手だ。

 


予選から存在感をアピールし、予選5位、決勝トーナメント10位の松山北斗(GR86)。2022年チャンピオンの走りは今後も期待したい。

 

 


鈴鹿ツインサーキットをかなり走り込んで挑んだ、ユキオ ファウストだが、予選7位、決勝トーナメント11位で終了した。

 


開幕戦ではカッレ・ロバンペラを倒して注目を集めた草場佑介は、トップ32で予選25位の目黒雄大(JZX100 チェイサー)を破りトップ16入りを果たすも、中村直樹に敗れ12位。

 


開幕戦では予選敗退だった玉川艶哉(JZA80 スープラ)だが、第2戦ではトップ32で藤本幸之助を倒し、トップ16入りを果たす。予選17位、決勝トーナメント13位。

 


今年からGRヤリスに乗り換え、開幕戦12位、RD.2は14位と、今年最も勢いを感じる金田義健。

 


今回初登場で中国から参戦してきた葉 志成(A31 セフィーロ)は、アグレッシブな走りで予選を18位で突破し、15位を獲得した。

 


開幕戦では8位を獲得し、今年波に乗る齋藤育生(R35)。今回も予選22位から16位を獲得。

 


雨天だったが、トップ16セレモニーには、キッズウォークに参加した子供たちも多く参加した。

 


FORMULA DRIFT JAPANRD.2、トップ32表彰式。

 

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)