2024 FD JAPAN Rd5 奥伊吹 レポート&リザルト

山下広一が今期2勝目を挙げ
シリーズチャンピオンに輝く!!

早くも第5戦が終了したFORMULA DRIFT JAPAN。第4戦同様、FMX SHOWCASEなども併催される「MOTOR GAMES」のなかで2日間開催。天気は2日間ともに晴れ時々曇りで、終始ドライ路面。気温も高いなかで熱戦が繰り広げられた。

第5戦の舞台は、滋賀県のグランスノー奥伊吹。スキー場の駐車場とそれをつなぐ道路を使用して行われる特設コースで、ストリート感を味わえることもあって人気が高い。さらに今回は、3アウトゾーン側をコンクリートウォールで覆い、第2戦のエビス西ラウンド同様、アメリカのFORMULA DRIFTを彷彿させるコースでの大会となった。

ボーダーライン73ポイントの攻防
レベルの高い予選は見応えあり!

コンクリートウォール スレスレを走るドリフトが炸裂し、ときにはリアをコンクリートウォールに当てながらドリフトを続ける姿に、ギャラリーも大興奮だった第5戦。予選でも高得点が続出し、トップ32のボーダーラインも走るたびに上がるというレベルの高い戦いとなった。

今年はスポットで参戦する、アメリカのFORMULA DRIFTで活躍中の箕輪大也が、第1戦以来の登場。しかも今回は左ハンドルのGRカローラでの参戦となった。7番手で走行した箕輪大也は、1本目から86ポイントを出し、会場を沸かせる。その後、毎回コンクリートウォールにリアを当てながら走行を続ける葉 志成(イェ ジチェン A31)が88ポイントを獲得し、トップに立つ。さらに松井有紀夫(F22)が87ポイントを出すも、葉 志成に僅か及ばず。

1本目から得点争いは激しく、タイのエス チャナポン(S15)が89ポイントでトップに立つと、今度は斎藤太吾(SXE10)がほぼ完璧という走りを見せて95ポイントを獲得。他を一気に引き離してトップに。山中真生(A90)とケングシ(IS500F)が87ポイント、山下広一(E92)が86ポイントとランキング上位陣も高得点を獲得するも、90ポイント以上は斎藤太吾のみで1本目が終了した。

2本目、トップ32のボーダーラインが走るたびに引き上がる激しい得点争いとなった。2本目で魅せたのは、箕輪大也と葉 志成。ともに1本目を上回る91ポイントを獲得し、葉 志成が2位、箕輪大也が3位に上がる。しかし1本目は82ポイントだった高橋和己(E92)が92ポイントを出し、葉志成と箕輪大也を抜いて2位に上がる。最後はランキングトップの山下広一が89ポイントを出したが、ここで予選は終了。単走優勝は、95ポイントの斎藤太吾、2位は92ポイントの高橋和己、3位は91ポイントの葉志成が入った。予選通過のボーダーラインは73ポイントだったが、73ポイントを獲得しながらももう1本の点数差で、敗れた予選33位の真野修一は試練のラウンドとなった。

大波乱の展開のなか
気迫で相手を圧倒した山下広一が優勝

激しい得点争いとなった予選を彷彿させるかのように、決勝トーナメントも熱い戦いが続く。ワンモアタイム(引き分け再試合)も7回行われ、まさに大混戦となった。

予選1位の斎藤太吾は、予選32位の藤本幸之助(S15)と対戦。先行の1本目で圧倒的なドリフトを見せるも、2本目の後追い時にマシントラブルなのかドリフトが止まるミスを出し敗退。早くも予選1位が姿を消した。予選31位の塙 彰拡(Z4)と対戦した高橋和己は、2度のワンモアタイムの末、敗退。予選1位の斎藤太吾に続き、予選2位の高橋和己もトップ32で姿を消した。

予選3位の葉 志成は、予選30位のルカ メルリ、予選14位の益山 航(GRヤリス)を倒し、グレイト8進出を果たす。グレイト8では、予選27位の玉川艶哉(JZA80)、予選11位の山中真生(A90)を倒してグレイト8進出を果たした現在シリーズランキングトップの山下広一との対戦となる。かなり激しいバトルを繰り広げ、ワンモアタイムへ。ワンモアタイムではミスを極力少なくして走り続ける山下広一に軍配が上がり、ファイナル4へ勝ち上がる。

これでシリーズチャンピオンをグッと引き寄せた山下広一は、予選7位で田中友紀(JZX100)、松井有紀夫、草場佑介(GR86)を破ってファイナル4進出を果たした、松山北斗(GRカローラ)と対戦。1本目、両者一歩も引かぬ走りを見せるも、2本目で後追いの松山北斗が3ゾーンでスピン。山下広一がファイナル進出を決めた。

予選4位の箕輪大也は、シアムベンジャミン(JZA80)、日比野哲也(RZ34)を倒し、グレイト8進出を果たした。グレイト8では朱 元路(ジェリー ジュウ E92)、エス チャナポンを倒して勝ち上がってきた予選12位のKANTA(RZ34)と対戦。FORMULA DRIFT JAPAN最年少シリーズチャンピオンを獲得したKANTAと世界で活躍する中学生ドライバー箕輪大也との戦いにギャラリーが沸いた。その期待に応えるべく、2台ともに見事な追走を見せ、勝負が付かずにこの対戦もワンモアタイムへ。ワンモアタイムでも距離の近いドリフトバトルがコンクリートウォールスレスレで繰り広げられ、大歓声が起こった。歴史的な対戦に勝利したのは、KANTA。さらにKANTAは、RYUMA(JZX100)、藤本幸之助を破り、ワンモアタイムの末ケングシを倒してファイナル4進出を果たしたユキオ・ファウストと対戦。ここも勝ち上がり、ファイナル進出を果たした。

そしてファイナル。シリーズランキングトップを走る山下広一と、シリーズランキング4位のKANTAの戦いとなった。両者ともに豪快なドリフトでギャラリーを魅了したが、これまで的確な走りを繰り返したKANTAが僅かなミスを出して敗退し、山下広一は今期2勝目を獲得した。さらに山下広一は最終戦を待たずして、2020年、2021年と2年連続シリーズチャンピオン以来となる、3年ぶりとなるシリーズチャンピオンを獲得した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 優勝
山下広一(BMW E92)
第1戦3位、第2戦優勝、第3戦2位と、第4戦以外表彰台をゲットした山下広一が優勝。さらに最終戦を残した形で3度目となるシリーズチャンピオンも決定した。今年9月で56歳となる山下広一の『最年長シリーズチャンピオン獲得』の記録は、今後破られることのない金字塔となることだろう。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 2位
KANTA(RZ34)
予選12位からファイナル進出を果たし、2位を獲得。今回特にグレイト8の箕輪大也との対戦は、ドリフト競技の歴史に残るベストバトルと呼べるだろう。シリーズランキングも3位に浮上。

優勝した山下広一(中央)、2位のKANTA(左)、3位の松山北斗(右)。

優勝した山下広一とTMS RACING TEAM GOODRIDE。

両手を挙げて勝ち名乗りを受ける山下広一。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 3位
松山北斗(GRカローラ)
第5戦からGRカローラに乗り換えて挑み、予選7位から3位を獲得した。ファイナル4で山下広一に破れはしたものの、果敢に攻めるドリフトは見事だった。

2位のKANTAとTeamORANGE with LINGLONG tire。

3位の松山北斗とCUSCO RACING。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 4位
ユキオ ファウスト(S15)
持ち味の豪快なドリフトで、予選16位を獲得し、ファイナル4に進出。ファイナル4で敗れて4位に終わるも、シリーズランキングを8位に押し上げた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 5位
葉 志成(A31)
毎回3ゾーンの立ち上がり手前でリアを擦りながら走り続ける攻めのドリフトでギャラリーを沸かせ、予選3位、決勝5位の好成績を残した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 6位
箕輪大也(GRカローラ)
現在アメリカのフォーミュラDを中心に活動し、今回第1戦以来の参戦となり、マシンもレッドブルカラーのGRカローラに変更した。予選4位で通過し、グレイト8ではKANTAに敗れて6位に終わるも、心に刻まれたKANTAとの好バトルは、間違いなく歴史に残る1戦となった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 7位
ケングシ(IS500F)
公式練習からコントロール感のあるドリフトでコンクリートウォールを見事に攻略していたケングシは予選8位を獲得。トップ16では中村直樹とのワンモアタイムを制して勝ち上がるも、グレイト8でユキオ ファウストに敗れて7位に終わった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 8位
草場佑介(GR86)
予選18位からグレイト8進出を果たす。グレイト8では同チームの松山北斗と対戦し、敗退。8位に終わるもシリーズランキングは6位に浮上した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 9位
エス チャナポン(S15)
予選5位を獲得し、トップ16に勝ち進んだが、トップ16でKANTAに敗れて9位。シリーズランキングは12位に後退。

95ポイントを獲得し、単走優勝に輝いた斎藤太吾。

単走優勝の斎藤太吾。審査員のケンジ・ヤマナカからトロフィーを受け取る。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 10位
中村直樹(GR86)
追走での超接近バトルを得意とする中村直樹は、コンクリートウォールをものともしない果敢な攻めを見せ、予選9位、決勝10位を獲得した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 11位
松井有紀夫(F22)
予選10位からトップ16進出を果たし、松山北斗に敗れ11位。今年は成績を残せず苦しいシーズンだったが、復調を期待させる走りだった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 12位
山中真生(A90)
シリーズランキング5位から上位を目指して挑んだラウンドだったが、予選11位、決勝12位に終わった。シリーズランキングは5位をキープ。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 13位
日比野哲也(RZ34)
予選13位からトップ16に進出。箕輪大也に敗れ13位も、角度ある進入は見事だった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 14位
益山 航(GRヤリス)
予選14位から麻植隆太郎をトップ32で下し、トップ16に勝ち上がる。トップ16では葉志成に敗れ14位となった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 15位
塙彰拡(Z4)
予選31位で決勝トーナメントに進出。トップ32で、予選2位の高橋和己を2度ワンモアタイムで破り、トップ16進出を果たす。トップ16でも草場佑介とワンモアタイムの末敗れ、15位もアグレッシブな走りを発揮した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 16位
藤本幸之助(S15)
予選32位からトップ32で予選1位の斎藤太吾を破る大金星で、トップ16進出を果たす。トップ16でユキオ・ファウストに敗れたが、16位獲得。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 表彰式

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 トップ32 表彰式

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)
FORMULA DRIFT JAPAN事務局