予選突破もハードな見応えたっぷりのFDJ3
今年全戦が単独開催となり、全5戦で行われているFDJ3。第3戦は千葉県の茂原ツインサーキットで開催された。ここまで第1戦と第2戦で優勝して2位以下を引き離し、シリーズチャンピオンへまっしぐらの江崎台地が、このまま突っ走るのか、それとも誰が「待った!」をかけるのか、楽しみな1戦となった。
9月半ばというのに、30度越えという暑いなかで行われた、茂原ツイン決戦。千葉県のドリフト競技を支えるミニサーキットで、この日も多くの観客が押し寄せた。その期待に応えるべく、選手たちも予選から熱い走りを連発。見応えある大会となった。
僅か16台の枠を争う
ハイレベルな戦いとなった単走予選
ドリフト大会としては珍しいワンメイクタイヤで行われているFDJ3。FDJ2同様、横浜ゴム製タイヤが指定されている。そんななかFDJ3で使用されるのは、ADVAN APEX (アドバン エイペックス)V601。FDJ2ではADVAN NEOVA(アドバン ネオバ)AD09だが、ADVAN APEX V601は、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤで、非対称トレッドパターンが特長となっている。車種、パワーには違いはあれど、タイヤをワンメイクにすることでイコールコンディションに近い状態のなかでの戦いとなる。
今回の茂原ツインサーキットは、最終コーナーでの審査となることが多いコースだが、FDJ3ではホームストレートにスタート地点を設置し、1コーナーから3コーナーに4つのアウトゾーンを設置。テクニカルなコースでの争いとなる。単走予選は、ライン35ポイント、アングル35ポイント、スタイル30ポイントの計100ポイントで行われた。高い気温のなかだが、天気は快晴。終始ドライ路面での大会となった。予選に出走したのは36台。20台が予選で姿を消すという厳しい条件のなか行われた。
予選1本目、最初に80ポイント越えを出したのは、HINATO(JZX100)だ。ラインをきっちりと取り、81ポイントの高得点をマーク。その後、伊藤 準(JZX100)が82ポイント、ジェイス(Z33)が84ポイントと、HINATOを越えていく。さらに青木改斗(JZX100)が91ポイントを叩き出し、一気にトップに立つ。横山拓麻(S15)と佛坂圭人が80ポイント、和田悠希(RPS13)と中村総士郎(S14)そして猪瀬 司(JZX100)が81ポイント、北尾龍平(C33)が82ポイント、斎藤久史が84ポイント、吉田裕海(S14)が85ポイント、永広和也(S14)が86ポイント、江崎台地が88ポイントと、1本目にして14名が80ポイント越えを達成。予選通過ボーダーラインも走るたびに上がるという高いレベルのなかでの予選となった。
2本目も80ポイント越えが連発し、17名が80ポイント越えを達成。結果、予選通過のボーダーラインは81ポイントとなり、80ポイントを獲得しながらも佛坂圭人は17位で予選通過はできなかった。
予選1位は青木改斗だ。1本目、2本目ともに91ポイントを獲得し、2位に3ポイント差を付けて単走優勝に輝いた。2位は88ポイントの横山拓麻、3位は2本目0ポイントとなったが2位の横山拓麻同様88ポイントを獲得した江崎台地となった。
迫力ある追走ドリフトが連発
青木改斗がパーフェクトウィンを達成!
追走で行われたトップ16決勝トーナメントも見応えある戦いが続いた。予選1位を獲得した青木改斗は、注目の若手・中村総士郎をトップ16で倒し、予選8位の北尾龍平も撃破しファイナル4進出を果たす。
予選2位の横山拓麻は、トップ16で飯島優惺(JZX90)を破りグレイト8進出を果たすも、予選7位の吉田裕海を倒して勝ち上がってきた予選10位の斎藤久史に敗れ、姿を消す。
3連勝を狙う江崎台地は、トップ16で予選14位の城下長令を破るも、グレイト8で予選6位の山口広人(JZS171)に敗退してしまう。
予選4位のHINATAはトップ16で予選13位の猪熊 司に敗れ、予選12位の伊藤準を倒してグレイト8進出を果たした予選5位の永広和也を破った猪熊 司がファイナル4進出を果たす。
ファイナル4進出を果たしたのは、予選1位の青木改斗、予選6位の山口広人、予選10位の斎藤久史、予選13位の猪熊 司の4名。ファイナル4の1組目、青木改斗 対 猪熊 司は、両者一歩も引かぬ走りでワンモアタイムにもつれ込む。ワンモアタイムではラインをきっちりと狙い走り切った青木改斗に軍配が上がり、ファイナルへ進出。
もう一方のファイナル4は、山口広人 対 斎藤久史。重量級のクラウンを巧みに操る山口広人に、動きの良い斎藤久史が勝利して、ファイナル進出を果たした。しかしこの戦いのあと、斎藤久史のマシンが燃料系のトラブルを発生。斎藤久史は修復不可能と判断し、ここでリタイアとなり、ファイナルは青木改斗のバイラン。予選トップからの初優勝を決め、パーフェクトウィンとなった。
これで面白くなってきたのが、シリーズチャンピオン争い。第3戦終了時点でトップは、開幕戦と第2戦を連覇した江崎台地の252ポイント。それを負うのが第1戦は不参戦だったが、第2戦と今回の第3戦で連続2位を獲得し、165ポイントまで伸ばしてきた斎藤久史だ。第3戦は予選落ちとなってしまったが、146ポイントの船橋 竜が3位。今回優勝を決めた青木改斗が131ポイントで4位に浮上し、2位以下が大激戦状態。4位以下にも残り2戦で、大逆転のチャンスも残されている。このまま江崎台地が逃げ切るか、それともまた新たなルーキーの登場となるのか、若手が凌ぎを削るFDJ3は、残り2戦も目が離せない。
FDJ3 Round.3 優勝
青木改斗(JZX100)
予選で91ポイントを獲得して単走優勝を果たし、波に乗り、そのまま勢いも衰えることなく優勝を飾った。ライン&角度を重視した走りのスタイルは、まさにフォーミュラドリフト向き。今後大きく羽ばたくことは間違いないだろう。
2本ともに91ポイントと高いレベルでの単走優勝を果たした青木改斗。
優勝した青木改斗。仮表彰で勝利を噛みしめるように優勝発表のアナウンスに応えた。
優勝した青木改斗(中央)、2位の斎藤久史(左)、3位の山口広人(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。マシントラブルでファイナルはリタイアとなった斎藤久史のマシンも仲間たちの手押しで登場した。
優勝した青木改斗(ガレドリ改 BLASTLUCK)と関係者も含めてステージに上がっての記念撮影。
FDJ3 Round.3 2位
斎藤久史(RPS13)
予選10位から強敵を倒してファイナル進出を果たすも、ファイナル前に燃料系トラブルを発生し、無念のリタイアとなったが、2戦連続の2位を獲得した。
2位の斎藤久史(チーム miyaseimitsu)と関係者。表彰台にて記念撮影。
FDJ3 Round.3 3位
山口広人(JZS171)
JZS171クラウンという重量級マシンを自在に操り、予選6位からファイナル4進出を果たした。
表彰台にて記念撮影をする3位の山口広人(TEAM SKILL)と関係者。
FDJ3.Round.3 4位
猪熊 司(JZX100)
予選は13位ながら、予選4位のHINATA、予選5位の永広和也を倒してファイナル4に進出し、4位を獲得。
FDJ3 Round.3 5位
横山拓麻(S15)
予選は1本目で80ポイント、2本目88ポイントを獲得し、高いレベルの走りを披露。シリーズランキングも10位に浮上した。
FDJ3 Round.3 6位
江崎台地(S15)
第1戦、第2戦で優勝し、勢いある江崎台地だったが、今回は予選3位を獲得するもグレイト8で敗退し、6位。しかしシリーズランキングはトップを独走中だ。
FDJ3 Round.3 7位
永広和也(S14)
シリーズランキング3位で挑んだ今ラウンドだが、予選5位、グレイト8敗退となった。シリーズランキングは5位に下がるも、トップと124ポイント差。第4戦の結果次第では、まだチャンピオンを狙える位置にいる。
FDJ3 Round.3 8位
北尾龍平(C33)
予選8位を獲得し、グレイト8に進出。グレイト8で優勝した青木改斗に敗れるも8位を確保。シリーズランキングも8位に。
FDJ3 Round.3 9位
HINATO(JZX100)
FDJ3 Round.3 11位
和田悠希(RPS13)
予選8位を獲得し、グレイト8に進出。グレイト8で優勝した青木改斗に敗れるも8位を確保。シリーズランキングも8位に。
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)