2024 FD JAPAN Rd6 岡山 レポート&リザルト

最終戦もドリフトサバイバル!
今年から出場の中村直樹が初優勝を果たす!!

今年で10年目のシリーズ戦となったFORMULA DRIFT JAPAN。10代目シリーズチャンピオンは、2020年、2021年と連覇を果たした山下広一が、最終戦を待たずして第5戦で3年ぶり3度目のシリーズチャンピオンを獲得した。

第6戦の舞台は、岡山県にある「岡山国際サーキット」。今回の最終ラウンドも第4戦、第5戦同様「MOTOR GAMES」のなかで行われた。しかも今回はFDJ2の第6戦との併催となり、3日間大勢のギャラリーが詰め寄せた。

毎年最終戦として行われる「岡山国際サーキット」ラウンドは、ホームストレート上にスタート地点が設けられ、1コーナーからアドバンブリッジを過ぎて、ショートカットコースを使用する、FORMULA DRIFT JAPANならではのオリジナルコース。1コーナーにアウトクリップ1、アドバンブリッジを過ぎた付近にタッチアンドゴー、そしてアウトクリップ2、コンクリートウォールで作られたアウトクリップ3を通過して、インクリップ、そしてフィニッシュというハイスピードかつテクニカルなコース。特にショートカット付近のアウトクリップ3は、コンクリートウォールスレスレを抜けていくため、かなりリスキー。ハラハラドキドキのドリフトバトルが楽しめるコ―スレイアウトなのだ。

練習日の金曜午前中までは雨模様だったが、FORMULA DRIFT JAPANの練習走行がスタートした午後には雨も上がり、ほぼドライ路面で行われた。

アメリカのFORMULA DRIFTで活躍する
中学生ドライバー・箕輪大也が単走優勝を決めた!

ハイスピードなドリフトで見応えタップリの岡山国際サーキットラウンドは、1本目から高得点が続出する激しい予選となった。

まず85ポイントを獲得したのは、11番手に登場した田中友紀(JZX100)。まとまりの良い走りで、ライン・アングルともに30ポイント、スタイル25ポイントを獲得した。

今年はアメリカのFORMULA DRIFTに参戦し、FORMULA DRIFT JAPANは第2~4戦が不出走となった箕輪大也(GRカローラ)が中盤で登場。いきなり88ポイントを出し、場内を沸かす。その後は第4戦で優勝した張 盛鈞(チョウ ションジュン E92)が86ポイント、RYUMA(JZX100)、ミンミン(GR86)、益山 航(GRヤリス)が85ポイントで箕輪大也を追う形となった。

今年からFORMULA DRIFT JAPANに参戦してきた中村直樹も負けていない。箕輪大也を超える90ポイントを出してトップに立つ。さらにCUSCO RACINGの草場佑介(GR86)も89ポイントを出し、箕輪大也をかわして2番手に付ける。その次に走行したのは山中真生(A90)。ここで中村直樹を超える92ポイントを獲得し、単走優勝を狙う。

2本目も80ポイント台が続出し、予選通過のボーダーラインがどんどん上がるなか、女性ドライバー・高璇(ガォウ エコー PS13)が豪快な走りで89ポイントを獲得し、3位タイに浮上。しかしこのままでは終われないとばかり、箕輪大也はライン、アングルともにお手本のような走りをみせて95ポイントの高得点を叩き出し、一気にトップを奪い返す。

1本目に85ポイントだった張 盛鈞も91ポイントを出して3位に浮上。走るたびに目まぐるしく順位が変わる予選に、観客も拍手や声援が飛んだ。さらに日比野哲也(RZ34)が91ポイント、ケングシが87ポイントを上げたが、箕輪大也の95ポイントには及ばず、箕輪大也が予選を1位で通過した。2位は92ポイントの山中真生、3位は91ポイントの張盛鈞、日比野哲也も91ポイントを出していたが、セカンドベストの得点差で4位となった。

予選を32位で通過したのは、78ポイントのポップ(GR86)。残念ながら77ポイントに終わったシアムベンジャミン(JZA80)は77ポイントで予選敗退となった。

最終戦に相応しい好バトル続出
予想を遥かに覆す戦いに大興奮!

走るたびに順位が変わる予選同様、トップ32から激しい追走トーナメントとなった決勝。予選1位の箕輪大也は、予選32位のポップ、予選16位の高橋和己(E92)を倒してグレイト8進出を果たす。グレイト8では、予選24位のエス チャナポン(S15)、予選25位の真野修一を破り勝ち上がってきた、ケングシ(IS500)と対戦。ここまで冷静に戦ってきた箕輪大也だったが、お互いにアメリカのFORMULA DRIFTに出場しているということもあってのか、闘志をむき出しにしたバトルとなった。結果、攻め過ぎた箕輪大也が、後追いで先行のケングシをプッシュし、敗退。ファイナル4進出はケングシとなった。

ファイナル4でケングシが対戦したのは、予選5位の中村直樹。予選21位の塙 彰拡(Z4)、予選4位の日比野哲也を下してファイナル4に駒を進めてきた。特に後追いでの走りに定評がある中村直樹は、この最終戦で走るたびに迫力を増していき、その勢いのままケングシを破り、ファイナル進出を果たした。

予選2位の山中真生は、予選31位の斎藤育生(R35)予選18位のポン(F220)、予選7位の草場佑介を倒して、ファイナル4に進出。対戦相手は、予選14位の益山 航、予選3位の張 盛鈞、予選6位のミンミンを倒し、勝ち上がってきたシリーズチャンピオンの山下広一(E92)。予選19位から強敵相手にここまで勝ち上がってきた。しかもトップ16で張 盛鈞とグレイト8で対戦したミンミンとはワンモアタイムでの決着となり、かなり苦しみながら勝ち抜いてきたことになる。

山中真生 対 山下広一は、今年4度目の対戦で、すべて山下広一が勝っているカードだ。なんとしても勝ちたい。ここで勝たないと今年が終われない山中真生の走りには執念のようなものを感じた。そして山中真生が山下広一に勝利し、ファイナル進出を果たした。

どちらもノリに乗って勝ち上がってきた選手。そしてどちらも初のファイナル進出となった。この戦いも見事なバトルとなった。勝負は中村直樹が制して、最終戦にして初優勝を飾った。

最終戦も終了し、気になるのはシリーズランキングだ。シリーズチャンピオンは第5戦終了時に山下広一(475ポイント)が決めていたが、2位以下が大混戦で迎えた最終戦だっただけにどんな順位となったのか。今回3位を獲得したケングシが343ポイントで2位を死守し、3位には303ポイントの高橋和己、4位に298ポイントの山中真生、そして最終戦で優勝し291ポイントを獲得した中村直樹が5位となった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 優勝
中村直樹(GR86)
今年からFORMULA DRIFT JAPANに参戦し、第1戦こそ不出場だったが、第2戦以降着実にポイントを獲得し、最終戦で優勝してシリーズランキングは5位。最後の最後に、走りでも順位でも底力を魅せつけてくれた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 2位
山中真生(A90)
これまで厚き壁として立ちはだかってきた、大先輩・山下広一をファイナル4で撃破。初のファイナル進出を果たし、2位を獲得した。

優勝した中村直樹(中央)、2位の山中真生(左)、3位のケングシ(右)。

仮表彰での優勝コールに、FORMULA DRIFT JAPANでの初優勝を噛みしめる中村直樹。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 3位
ケングシ(IS500)
予選19位からファイナル4に進出。優勝した中村直樹に敗れたが、今回も今シーズン3度目となる表彰台を獲得。シリーズランキングも2位で終了した。

2位の山中真生。審査員のケンジ ヤマナカも加わり記念撮影。

3位のケングシとTeam kazama with Moty’s。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 4位
山下広一(E92)
予選を19位で通過し、ワンモアタイムを繰り返しながらもファイナル4進出を果たした。最終戦も4位を獲得し、チャンピオンとしての意地を見せた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 5位
箕輪大也(GRカローラ)
第5戦からレッドブルカラーのGRカローラに変更し、正確で勢いある走りで魅せて単走優勝を果たす。決勝トーナメントでもグレイト87まで勝ち進むも、ケングシに敗れ5位に終わった。

95ポイントを獲得し、単走優勝に輝いた箕輪大也。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 6位
ミンミン(GR86)
予選6位、決勝6位と走りも安定。シリーズランキングも14位に浮上し、来年の活躍に期待大。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 7位
日比野哲也(RZ34)
角度ある走りで予選を4位で通過。グレイト8で中村直樹に敗れはしたものの、常に見せる走りでファンを魅了してくれる。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 8位
草場佑介(GR86)
予選7位でグレイト8まで勝ち進む。前回同様8位で終わるも、高い水準での安定は、さすがCUSCO RACINGのエースだ。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 9位
張 盛鈞(E92)
第3戦で優勝し、今回も予選3位で決勝トーナメント進出を果たす。同チームの山下広一とワンモアタイムの末敗れるも、常に勝てる実力を備えていることを実証した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 10位
葉 志成(A31)
練習から豪快な走りを見せ、優勝候補のひとりとして名を連ねるも、予選・決勝ともに10位に終わった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 11位
RYUMA(JZX100)
予選13位からトップ16に進出。トップ16では後追いで接触する場面もあったが、その後の入れ換えての先行では、これからを期待させる見事な走りを見せた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 12位
高橋和己(E92)
少しでもランキング上位を目指して挑んだラウンドだったが、予選16位、決勝12位で終わる。しかしシリーズランキングはひとつ順位を上げて、3位で終了した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 13位
ポン(F220)
攻めのドリフトで、予選18位、決勝13位を獲得。トップ32では松山北斗相手にワンモアタイムに持ち込み勝利した。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 14位
塙 彰拡(Z4)
今年は第2戦以外の計5回決勝トーナメント進出。今回は予選21位からトップ16に進出。中村直樹に敗れ、14位。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 15位
ユキオ ファスト(S15)
予選22位、決勝15位を獲得し、シリーズランキングは9位。常に上位に食い込むも、後半戦の失速で悔しいシーズンとなった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.6 16位
真野修一(S13)
予選25位から決勝トーナメント進出し、トップ32で予選8位の高璇を破り、トップ16進出を果たす。シリーズランキングも31位に浮上した。

FORMULA DRIFT JAPAN Rd.6 トップ16セレモニー。

FORMULA DRIFT JAPAN Rd.6 表彰式。

FORMULA DRIFT JAPAN Rd.6 トップ32表彰式。

2024年シリーズチャンピオンを獲得した山下広一。

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)