初開催のつくるまサーキット那須
シリーズチャンピオンが決定!
今年はすべてが単独開催となり、全5戦で行われているFDJ3。第4戦は、栃木県のつくるまサーキット那須で開催された。今回会場となった「つくるまサーキット那須」での開催は、FORMULA DRIFT JAPAN、FDJ2を含めて初開催。シーズンも後半に入り、話題いっぱいの第4戦。残り2戦となり、今回シリーズチャンピオン争いにおいても重要な一戦だが、シリーズランキング2位から5位までが不参戦となり、シリーズトップを走る江崎台地が、順調に勝ち進めばシリーズチャンピオンが決定するというなかで行われた。
難解なコースレイアウトを攻略
高得点で単走優勝した吉田裕海
ワンメイクタイヤでのドリフト大会として開催されている、FDJ2とFDJ3。共にヨコハマゴム製タイヤが指定され、FDJ3では「ADVAN APEX (アドバンアペックス)V601」での戦いとなる。ちなみにFDJ2は「ADVAN NEOVA(アドバンネオバ)AD09」で、FDJ3と違ったタイヤでの戦いが行われている。
FDJ3で使用されるADVAN APEX V601は、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤで、非対称トレッドパターンが特長。車種、パワーは違うが、タイヤをワンメイクにすることでイコールコンディションに近い状態のなかでドリフト競技が行われているのが、FDJ2とFDJ3なのだ。
初開催となる、つくるまサーキット那須での第4戦は、ストレートの途中にスタート地点が設けられ、1コーナーに1アウトゾーン、テクニカルなヘアピンコーナー手前にタッチアンドゴー、ヘアピンコーナーに2アウトゾーン、そこから次のコーナーに3アウトゾーンが設けられ、3アウトゾーンを通過した地点にフィニッシュラインというレイアウトでの審査だ。勢いよく大きなドリフトで進入して、ヘアピンで減速しつつドリフトを維持して3アウトゾーンを目指す、かなりテクニカルなコースレイアウトで、ヘアピン手前に設けられたタッチアンドゴーもクリアしなければならず、見た目は簡単なように見えるが、実際に走るドライバーにとってかなり難解なコースレイアウトでの審査となった。
予選1本目、難しいレイアウトに苦戦する選手が多いなか、79ポイントを出してトップに立ったのはスチュアート井上(S15)。その2人あとに出走して81ポイントを出し、トップを奪い取ったのは、14歳のHINATO(JZX100)。うまくマシンをコントロールして全コーナーをクリアした。
さらに18歳のジェイス(Z33)がHINATOを上回る84ポイント、14歳の中村総士郎(S14)が80ポイントと10代のルーキーたちが続々と80ポイント越えの高得点をマークする。しかし、32番手で出走した現時点でシリーズランキング9位の吉田裕海(S14)が、これまでの高得点を一掃する87ポイントを叩き出す。1本目ラストはシリーズランキングトップの江崎台地(S15)が80ポイントを出すも、吉田裕海がトップを独走する。
予選2本目は、各選手ともになかなか得点を伸ばせないなかで進む。2本目に80ポイント越えの得点は出ずに、そのまま吉田裕海が逃げ切って、今シーズン2度目の単走優勝を飾った。予選2位は84ポイントのジェイス、予選3位は81ポイントのHINATA、予選4位は80ポイントの中村総士郎と、10代の若手選手が上位を占めた。シリーズランキングトップの江崎台地は、4位と同点の80ポイントを取るも、2本目にミスを出して0ポイントとなり、予選5位での通過となった。
どうしても勝ちたい! 気持ちが勝った
吉田裕海がパーフェクトウィン!!
今回予選を出走したのは35台。約半数が予選落ちとなり、決勝トーナメントに進出したのは16台。予選1位通過を果たした吉田裕海は、予選16位のマトス・ジョセフ(JZX100)、予選8位の佛坂圭人(S14)を破りグレイト8に進出した予選9位の猪熊司(JZX100)を倒してファイナル4進出を果たす。
予選2位のジェイスも、予選15位の鈴木憲司(JZX100)、予選7位の横山拓麻(S15)を倒してファイナル4へ駒を進める。予選3位のHINATOは、予選14位の和田悠希(RPS13)をワンモアタイムの末に倒してグレイト8進出を果たすも、予選6位のスチュアート井上を倒して勝ち上がってきた予選11位の小林知彦(A90)に敗れてしまい、小林知彦がファイナル4進出を果たした。
予選4位で通過した中村総士郎だが、トップ16で対戦した予選13位の飯島優惺(JZX90)に敗れ、ここで姿を消す。その飯島優惺は、グレイト8で予選5位の江崎台地と対戦。好戦するも江崎台地の前に敗退となった。
ファイナル4の1組目、吉田裕海 対 江崎台地は、両者ともに譲らない激しいドリフトバトルを見せた。この勝負は吉田裕海に軍配が上がり、吉田裕海がファイナル進出を果たした。敗れた江崎台地は、ファイナル4で敗れはしたものの、備北ハイランドサーキットで行われる最終戦を待たずして、シリーズチャンピオンを確定した。ファイナル4の2組目はジェイス対小林知彦。この戦いは予選2位のジェイスが勝ち上がり、ファイナルは予選1位と2位の戦いとなった。
ファイナルまで勝ち上がってきたジェイスは、18歳の高校生ドライバー。対する吉田裕海も31歳とまだまだ若手だ。この対戦、どちらも気合の入った走りを見せる。ラインをキッチリ取った吉田裕海がジェイスの走りを上回り、この勝負をものにしてパーフェクトウィンで、見事初優勝を飾った。
今年のFDJ3は、とにかく若手選手の活躍が目立つ。48名のエントリーに対して、30代が13名、20代が12名、10代が4名と、半数以上を数える。今回は10代の4名全員が、決勝トーナメントに勝ち進むという快挙を果たした。アメリカのFORMULA DRIFTやFORMULA DRIFT JAPANでも活躍する中学生ドライバー・箕輪大也を筆頭に、FDJ2の川瀬羚也など、10代の成長が目まぐるしいドリフト競技。こういった若いドライバーが、これからのドリフト競技を担って、進化させていく。
さらに海外選手もトップカテゴリーのFORMULA DRIFT JAPANのみならず、FDJ2やFDJ3にも多く参戦してきている。日本だけでなく世界に広がるドリフト競技を、もっと日本で盛り上げていきたい。そのためにも若い選手の活躍が、これからの国内でのドリフト競技において重要になることは間違いないだろう。
FORMULA DRIFT JAPANとFDJ2は2024年度のシリーズ戦はすべて終了しているが、FDJ3の最終戦は、12月1日(日)に備北ハイランドサーキットで行われる。備北ハイランドサーキットはこれまでFDJ2での開催はあったが、FDJ3での開催は初となる。どんなドラマが待っているのか、また新たなヒーローが誕生するのか、出場選手も観覧者も、最後まで楽しんでもらいたい。
Rd04 つくるま トーナメント結果 / Rd04 つくるま リザルト / Rd04 つくるま 予選結果 / FDJ3 ランキング
吉田裕海(S14)
FDJ3 Round.4 優勝
単走優勝を果たし、走るたびに安定感を感じさせるライン重視のスタイルで、最後までキッチリ走り切り、パーフェクトウィンで初優勝を決めた。シリーズランキングも2位に浮上した。
1本に87ポイントを獲得して単走優勝を果たした吉田裕海の1本目の走り。
優勝した吉田裕海。仮表彰では涙を見せながら勝利を噛みしめた。
表彰式。優勝した吉田裕海(中央)、2位のジェイス(左)、3位の江崎台地(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。左から、2位のジェイス、優勝の吉田裕海、3位の江崎台地。
優勝した吉田裕海(R-BLUE × modesta × cleave Racing)とチーム関係者で喜びの記念撮影。
FDJ3 Round.4 2位
ジェイス(Z33)
スーパーチャージャー仕様のZ33で最後まで走り抜き、2位を獲得。シリーズランキングも8位に上昇した。
2位のジェイス(R4MOTORSPORTS with VEICOLO)とチーム関係者。
FDJ3 Round.4 3位
江崎台地(S15)
第1戦、第2戦を連勝し、第4戦では3位を獲得。最終戦を残して315ポイントを獲得。2位に118ポイント差をつけ、最終戦を前にしてシリーズチャンピオンを決定した。
FDJ3.Round.4 4位
小林知彦(A90)
予選11位から、予選6位のスチュアート井上、予選3位のHINATOを退けてファイナル4に進出。2位のジェイスに敗れはしたものの、初の決勝トーナメント進出で、4位を獲得した。
FDJ3 Round.4 5位
横山拓麻(PS3)
予選は1本目で80ポイント、2本目88ポイントを獲得し、高いレベルの走りを披露。シリーズランキングも10位に浮上した。
FDJ3 Round.4 6位
HINATO(JZX100)
第3戦からメキメキとその実力を発揮し、第4戦の今回は予選3位からグレイト8に進出。6位を獲得した。
FDJ3 Round.4 7位
猪熊 司(JZX100)
今回シリーズ2位から5位が不出走となり、シリーズランキング6位で挑んだ今ラウンドは、予選9位、グレイト8敗退の7位。シリーズランキングは3位に上がり、2位とは28ポイント差。最終戦での逆転2位を目指す。
FDJ3 Round.4 8位
飯島優惺(JZX90)
予選13位からグレイト8に進出。グレイト8では、3位の江崎台地に敗れるもシリーズランキングは11位に浮上する。
FDJ3 Round.4 10位
スチュアート井上(S14)
FDJ3 Round.4 16位
マトス ジョセフ(JZX100)
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)