2024年を締めくくるFDJ3最終戦は
10代のルーキーが大活躍!
今年2年目となるFDJ3は全5戦で行われ、最終戦が12月1日に岡山県の備北ハイランドサーキットで行われた。備北ハイランドサーキットでのFDJシリーズ開催は、2021年のFDJ2以来となる。西日本を代表するドリフトコースとしても知られており、このサーキットから誕生したレジェンドドリフトドライバーも多い。FDJ3は前戦の第4戦でシリーズチャンピオンは決定しているものの、2位以下が大混戦。見応えタップリの最終戦も大波乱のなかで決着した。
第4戦で2位を獲得した
ジェイスが単走優勝を獲得!
2024年のドリフトシリーズの最後を飾るのは、ワンメイクタイヤでのドリフト大会として開催中のFDJ3。横浜ゴム製タイヤが指定され、全選手が「ADVAN APEX (アドバンエイペックス)V601」を装着して、イコールコンディションでの戦いが繰り広げられている。ADVAN APEX V601は、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤで、非対称トレッドパターンが特長で、扱いやすいという点で好評のタイヤだ。
FDJ3最終戦となる第5戦の舞台は、岡山県の備北ハイランドサーキット。ストレートから大きく振り出し、2コーナーまで攻めていくレイアウトで、西日本ドリフトコースの名門として知られている。FDJ3は、3年前のFDJ2同様のコースレイアウトとなり、ストレートからイニシエーションで振り出し、4つのアウトラインをクリアしていく。ストレートでの車速を生かして、4つ目のアウトラインまで一気に攻め立てるという見応えある審査コーナーで行われた。
今回は13名の不出走があったが、35台が2本の単走予選で決勝トーナメント出場枠の16位以内を目指す。攻め過ぎてコースアウトとなり、ポイントを獲得できないものも多かったが、全体的に高レベルな単走を見せ、予選通過ラインも走るたびに上がっていくという大激戦となった。
まず1本目に80点の高得点を獲得したのは、13番手でスタートした和喜田広志(RPS13)。ラインをまとめた形でトップに立つ。その後、和田悠希(RPS13)が85ポイント、佛坂圭人(S14)が83ポイント、北尾龍平(C33)が84ポイント、飯島優惺(JZX90)が82ポイント、ジェイス(Z33)が82ポイント、吉田裕海(S14)が86ポイントと、続々と80点越えを達成。1本目でトップを守ったのは、87ポイントを獲得した末広和也(S14)となった。
2本目も走るたびに予選通過のボーダーラインが上がっていくなか、ラインと角度を決めた走りを見せたジェイスが91ポイントを獲得し、他を一気に引き離してトップに立つ。その得点は最後まで抜かれることはなく、ジェイスが単走優勝を獲得した。予選2位は87ポイントの末広和也、3位は86ポイントの吉田裕海が獲得した。予選のボーダーラインは76ポイントで、前戦で2024年シリーズチャンピオンを決めた江崎台地(S15)が滑り込み、75ポイントだった川島雄也(JZX100)、ARISA(S15)、吉田欣伸(R32)は予選敗退となった。
ドリフト新時代到来
ファイナルは中学生対決となった
どの組合せもトップ16から興味深い戦いが続く。それは下位リーグのFDJ3が、今年1年で大成長を遂げた証だろう。この急成長には、10代の若手ドライバーの参加できるという点も大きい。
まず1組目は、予選1位のジェイス 対 2024年シリーズチャンピオンの江崎台地。開幕当初から勢いのある走りを見せていたジェイスは前戦の2位で覚醒し、今回も絶好調の走りを見せ、江崎台地を撃破。グレイト8では、予選9位の和喜田広志を破った予選8位の飯島優惺と対戦。高校生ドライバー対決となったが、ここも勝ち上がる。ファイナル4では、予選4位の佛坂圭人、予選18位の横山拓麻(S15)をワンモアタイムの末に倒して勝ち上がってきた予選13位のHINATO(JZX100)と対戦。高校生ドライバー・ジェイスに中学生ドライバー・HINATOが挑むというこの対決はワンモアタイムに突入する。ワンモアタイムで勝利をものにしたのはHINATOだ。HINATOは、ここまですべての対戦でワンモアタイムを制してファイナル進出を果たした。
一方、予選2位の永広和也は、トップ16で対戦した予選15位の西川 慧(JZX100)に敗れる大波乱。西川 慧は、第1戦以来の出場でグレイト8進出を果たした。しかし西川 慧は、グレイト8で対戦した予選7位の北尾龍平に敗れ、ここで消える。その北尾龍平は、予選6位の和田悠希、予選3位の吉田裕海を倒してファイナル4に進出してきた予選11位の中村総士郎と対戦。この対決、中学生ドライバー・中村総士郎が制して、初の中学生ドライバーでのファイナルとなった。
13歳同士の中村総士郎とHINATOのファイナル。この歴史に残る戦いは、どちらも自分の力を出し切った走りを見せた好バトルとなった。優勝したのは、中村総士郎。これが中学生の走りなのか、と今後を期待させる走りを見せた。もちろんHINATOもそれに引けを取らない走りだったが、惜しくも準優勝となった。
FORMULA DRIFT JAPANからアメリカのFORMULA DRIFTに大きく羽ばたいた箕輪大也に続けと言わんばかりに、10代のドライバーが大躍進を遂げた2024年のFDJ3。この活躍に「来年は我こそは!」と、奮起したドライバーも多いことだろう。今年のFORMULA DRIFT JAPAN、FDJ2、FDJ3はすべて終了となったが、どのリーグも白熱した1年だった。来年、新しい顔も登場してくる各リーグ、また新たな歴史を作ることは間違いないだろう。令和のドリフト競技はまさに新時代を創り上げているのだ。
中村総士郎(RPS13)
FDJ3 Round.5 優勝
予選6位の和田悠希、予選3位で前戦優勝の吉田裕海、予選7位の北尾龍平と、次々と強敵を倒して、予選11位ながらも大奮闘でファイナル進出を果たす。ファイナルの中学生対決も制し、初の頂点に立った。シリーズランキングも4位に上げて2024年を終了した。
優勝した中村総士郎(日本環境開発RACING)とチーム関係者。
優勝した中村総士郎。仮表彰で勝利を確信した瞬間のガッツポーズ。
表彰式。優勝した中村総士郎(中央)、2位のHINATO(左)、3位のジェイス(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。左から、2位のHINATO、優勝の中村総士郎、3位のジェイス。
FDJ3 Round.5 2位
HINATO(JZX100)
予選では13位だったが、決勝トーナメントではトップ16、グレイト8、ファイナル4と、すべてワンモアタイムを制し、13歳ながら強い精神力と集中力でファイナル進出。ファイナルでは同年代の中村総士郎に敗れはしたものの、今後の成長も楽しみな選手。シリーズは10位でフィニッシュ。
FDJ3 Round.5 3位
ジェイス(Z33)
第4戦で2位を獲得した勢いで、予選ではトップ通過して単走優勝に輝く。ファイナル4で敗れたが3位を確保した。シリーズランキングも3位に上昇した。
2本に91ポイントの高得点を獲得して単走優勝を果たしたジェイス。
ジェイス(R4MOTORSPORTS with VEICOLO)とチーム関係者。
FDJ3.Round.5 4位
北尾龍平(C33)
予選では7位を獲得し、決勝トーナメントに進出。ファイナル4で優勝した中村総士郎に敗れたが、4位を獲得。シリーズは7位で終了した。
FDJ3 Round.5 5位
吉田裕海(S14)
第4戦で単走&追走優勝のパーフェクトウィンを飾り、今回の予選も3位で通過。しかしグレイト8で中村総士郎に敗れ5位に終わった。それでもシリーズランキングは2位をキープしたままフィニッシュ。
FDJ3 Round.5 6位
飯島優惺(JZX90)
予選を6位で通過し、グレイト8でジェイスとの高校生対決に挑む。しかしここでジェイスに敗れ、6位となった。シリーズランキングは11位。
FDJ3 Round.5 7位
横山拓麻(S15)
第1戦から確実に成績を残し、今回も予選7位、決勝8位を獲得。シリーズランキングは5位と安定感のある優秀な成績で2024年のシリーズを終了した。
FDJ3 Round.5 8位
西川 慧(JZX100)
第1戦以来の出走となったが、予選15位から決勝トーナメントに進出し、予選2位の永広和也を倒してグレイト8進出を果たす。グレイト8では北尾龍平に敗れるも、存在感をアピールした1戦となった。
FDJ3 Round.5 14位
スチュアート井上(S15)
2024年シリーズチャンピオンの江崎台地(KIRA POWER×KFKwith走乱)とチーム関係者。
Photo:YOICHI WATANABE(渡辺洋一)