チームのエースとしての威厳を示す
念願の初優勝を獲得!!
より強く『勝ちたい』と思ったものが勝つ! 今年のFORMULA DRIFT JAPANは、そんな印象を強く受ける戦いが続く。第1戦の富士スピードウェイラウンドでは、日本での初勝利に輝いた、ケン グシが制し、第2戦はFDJ初優勝を果たした鈴鹿ツインで箕輪大也が優勝に輝いた。ドラマチックな優勝劇が続くFORMULA DRIFT JAPANの第3戦は、福島県エビスサーキット西コースで行われた。
第2戦に続き、予選ラウンドは
ハードなウエットコンディション
誰が今年のチャンピオンになるか? 2つのラウンドを終了した時点では、まだ飛びぬけた存在はいない。混線模様必死の今年のFORMULA DRIFT JAPANは、早くも3戦目に突入する。予選日の練習走行時はドライ路面だったが、予選が始まる直前に雨が降り出し、予選は終始ウエット路面での戦いとなった。今回の舞台となったエビスサーキット西コースは、昨年から2ゾーンにコンクリートウォールを設けた8の字を描くようなコース設定となる。1ゾーンが設けられた1コーナーも、サーキット本来のラインではなく、FORMULA DRIFT JAPANならではのラインに作り替えられているのも特長のひとつ。しかしこのウエット路面によって走りもかなり難しくなったのは事実だ。
予選1本目、今回から参戦となった台湾のダイ ショウシャン(E92)は、1番手スタートながら73ポイントを獲得し、まずまずの走りをみせた。しかしその後はもどりや脱輪等のコースアウトなどで得点を獲得できずに終わる選手も多く、得点もなかなか伸びないなかでの戦いが続く。その後、77ポイントを獲得してトップに立ったのは与座ハリー(HCR32)。さらに齋藤太吾(A90)が平均的にまとめ、79ポイントでトップに立つ。開幕戦で優勝に輝いたケングシ(IS500)は角度こそ浅かったものの、ラインとインパクトある走りを見せて82ポイントで齋藤太吾を抜いていく。高橋和己(E92)も攻めの走りを見せて80ポイントを獲得。ランキング上位陣が高ポイントを獲得していくなか、現時点でシリーズランキングトップの箕輪大也(GRカローラ)は、まさかの0ポイント。2本目に賭ける形となった。
予選2本目、ダイ ショウシャンは、1本目の得点を上回る74ポイントを獲得し、初参戦で予選通過を目指す。1本目に76ポイントを獲得したMr.ダニエルは、79ポイントを出してランキングを上げていく。トップの得点を出しているケングシの2本目は75ポイント、2位の髙橋和己も75ポイントで伸ばすことが出来なかったが、1本目の得点でケングシが予選トップ、高橋和己が2位で通過となった。3位は79ポイントのMr.ダニエル、4位には、2本目は0ポイントとなったが1本目に79ポイントを獲得した齋藤太吾が入った。最後の走行となった箕輪大也は68ポイントを出し、26位で予選を通過した。
天気一変、ドライで行われた
大波乱の決勝トーナメント
第2戦同様、予選日の雨から一変してドライ路面で行われた決勝トーナメント。コースコンディションは最高の状態で行われたが、予選1位と予選3位がトップ16で消えていく大波乱の展開となった、エビス西ラウンド。
グレイト8は、予選1位のケングシを破った予選16位の小橋正典(A90)と、シアム ベンジャミンと塙 彰拡(DGR)を倒してグレイト8に勝ち上がってきた、予選8位のポップ(S15)との対戦となった。ポップ先行の1本目、後追いの小橋が足回りのトラブルを発生して1ゾーンでスピンとなってしまう。このトラブルで、小橋はコンペディションタイムアウト(5分間ルール)を使うも、修復が間に合わずリタイア。ポップの勝ち上がりが決定した。
予選4位の齋藤太吾は、トップ32でジェイク ジョーンズ、トップ16では1本目の走行でマシントラブルを発生し、2本目リタイアとなった山下広一(E92)を破って、グレイト8進出を果たす。グレイト8で齋藤太吾が対戦したのは、予選21位のチョウ ションジュン(E92)。齋藤太吾の1本目、2台ともに迫力ある追走をみせた。チョウ ションジュン先行の2本目も見事な追走をみせた2台だが、この戦いは齋藤太吾後追いの2本目に、1、2ゾーンのラインが小さくなったことでの減点があり、チョウ ションジュンが勝利した。
予選2位の高橋和己は、トップ32でジャン ハウ、トップ16でユキオ ファストを倒してグレイト8進出を果たす。対するは予選7位からトップ32でワンモアタイムの末に箕輪大也、トップ16では松山北斗(A90)と、同チーム対決を制してグレイト8に進出してきた、草場佑介(GR86)だ。高橋和己先行の1本目、草場佑介先行の2本目ともにどちらも引かない追走で迫力あるドリフトバトルだったが、1本目、後追いの草場佑介も1輪脱輪はあったが、先行の高橋和己に2輪脱輪があり、その差で草場佑介の勝利となった。
これで予選1位から4位までがここで姿を消してしまう。この第3戦はマシントラブルも多く、最後まで誰が勝つのかわからないラウンドとなった。
グレイト8の最後の組は、予選4位のMr.ダニエルを倒してグレイト8進出を果たした濵田清文(JZX100)対 予選11位から村上 圭(GR86)と与座ハリーを倒してグレイト8入りした予選11位の益山 航(GR86)。濵田清文は、FD JAPANに昇格した今年は絶好調でここまですべてトップ16以上の成績を残している注目選手。良い勝負が続くグレイト8らしく、この戦いはワンモアタイムとなったが、接戦を制して勝ち上がりを決めたのは濵田清文だった。
ファイナル4の1組目、ポップとチョウ ションジュンの戦い。勝ち上がるごとに調子を上げるポップ。そしてその走りに食らいつくチョウ ションジュン。この戦いはワンモアタイムに突入となった。ワンモアタイムの1本目、先行のポップにキレイに付いていくチョウ ションジュンだったが、走行終了後にマシントラブルを発生。コンペディションタイムアウトを使用し、先行での2本目に向かう。2本目もどちらも譲らない走りをみせたが、2本目、先行のチョウ ションジュンは3モーションでの進入となってしまい、それが大きな減点となりここで敗退、ポップが初のファイナル進出を決めた。
ファイナル4の2組目は、草場佑介 対 濵田清文。一糸乱れぬ走りでここまで勝ち上がってきた草場佑介、そして気迫の走りでファイナル4進出を果たした濵田清文。この戦いの行方はワンモアタイムへ。ワンモアタイムの2本目、先行する濵田清文が1ゾーンでコースアウト。これで勝負が決定し、草場佑介がファイナル進出となった。
ファイナルは、予選7位の草場佑介と予選8位のポップ。1本目は草場佑介が先行、最後まで決めた草場佑介に対し、ポップはやや距離が空いてしまった感もあるが、全体的にまとめてきた。ポップ先行の2本目、2ゾーンの入りでコンクリートウォールに激突。草場佑介も避けきれずにクラッシュとなったが、この勝負を制したのは草場佑介。FORMULA DRIFT JAPAN初年度から走り続けた草場が待望の初優勝を手にした瞬間だった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 優勝
草場佑介(GR86)
これまで最高順位は2位。越えきれなかった壁をやっとの思いで越えての初優勝。しかも強豪揃いのTEAM CUSCOのエースとして意地を見せたラウンドとなった。
FORMULA DRIFT JAPAN初優勝を決めた、草場佑介。
仮表彰。優勝の草場佑介(中央)、2位のポップ(左)、3位の濵田清文(右)。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 2位
ポップ(S15)
アグレッシブな走りで常にファンを虜にするポップ。今回は初のファイナル進出を果たし、敗れはしたものの準優勝を獲得。最後まで攻めた走りは心に残るものとなった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 3位
濵田清文(JZX100)
今年からFORMULA DRIFT JAPANに参戦し、3戦目で初の表彰台をゲット。気迫溢れるファイティングスタイルで、これまでも上位進出を果たしてきた。魅せる走りで最後まで突き進む。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 4位
チョウ ションジュン(E92)
予選21位からファイナル4に進出。2度目の優勝までは届かなかったが、安定した走りで4位を獲得した。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 5位
高橋和己(E92)
今年は優勝こそないものの、ここまでは表彰台をゲットし続け、今回も5位。これでシリーズランキングトップに立つ。初のシリーズチャンピオンに向けて、確実にポイントを獲得する。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 6位
齋藤太吾(A90)
予選では常に沸かせる走りをみせ、今回は4位を獲得。昨年はクラッシュして苦い思い出となったこのコースだが、終始攻め続けた感動の走りを見せてくれた。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 7位
益山航(GR86)
マシントラブルに悩まされながら、なかなか上位進出を果たせないが、ドリフト実力者としての走りを常に披露してくれる。グレイト8に進出し、ワンモアタイムに持ち込むも敗退。7位に終わった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 8位
小橋正典(A90)
ホームコースだけに勝ちたかったラウンドだったが、グレイト8の1本目にマシントラブルを発生。コンペディションタイムアウトを使うも間に合わずリタイアとなった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 9位
ケン グシ(IS500)
開幕戦で優勝し勢いに乗るも、今回はトップ16で敗退。しかしシリーズランキングは3位をキープ。今後の巻き返しに期待する。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 10位
Mr.ダニエル(S13)
攻めの走りでギャラリーを沸かせ、トップ16進出を果たした。シリーズランキングも19位に浮上した。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 11位
与座ハリー(HCR32)
FDJ2に出場していたときと同様、R32で今年からFORMULA DRIFT JAPANに参戦。なかなか成績を残せない戦いが続いたが、今回はトップ16入りを果たし、ランキングも22位。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 12位
塙 彰拡(DGR)
予選では絶好調の走りをみせて9位、決勝トーナメント進出を果たした。決勝トーナメントでもトップ16入りし、2位のポップに敗れたが、12位を獲得した。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 13位
松山北斗(A90)
予選10位から決勝トーナメントに出場し、トップ16入りを果たす。トップ16では優勝した草場佑介と対戦。同チーム対決となった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 14位
山下広一(E92)
昨年のシリーズチャンピオンは、今回は予選9位から決勝トーナメントへ。トップ16まで勝ち進むも、マシントラブルにより2本目リタイアとなった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 15位
ユキオ ファスト(S15)
ドライ路面の練習では見事な単走をみせていたが、ウエットの予選は15位。トップ16では高橋和己と対戦した。シリーズランキングは10位。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 16位
松井有紀夫(F22)
予選28位から、トップ16では4位のチョウ ションジュン相手にワンモアタイムまで持ち込んだ。
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)