11代目チャンピオンは誰の手に!?
大混戦のチャンピオン争いの行方は……
3戦が終了したFORMULA DRIFT JAPAN。毎回優勝選手が入れ替わり、例年以上の混戦模様となっている2025年。第3戦は上位陣が総崩れとなり、混戦に拍車をかけた形となった。FORMULA DRIFT JAPANも折り返し地点となる第3戦終了時点で、トップに立つのは高橋和己だ。これまで優勝こそないものの、3位、2位、5位と堅実な走りでトップに立っている。2位は第2戦で優勝した箕輪大也、そして3位は第1戦の覇者であるケングシ、そして山下広一、小橋正典と続く。第3戦で優勝した草場佑介は、現在ランキング6位まで上げてきた形だ。
第3戦からの東北シリーズとなる今回の第4戦の舞台は宮城県のスポーツランドSUGO。名門サーキットで繰り広げられたドリフトバトルに注目していこう。
変わりゆく路面状況を見極めたものが
単走チャンプに輝く!
第4戦の予選も第3戦同様、雨のなかでの戦いとなった。しかも降ったりやんだりで、予選2本目後半には路面も乾きだし、どの時間帯に自分の走る順番がきて、どんな路面コンディションで走れるかということも重要となった。
予選1本目、11番目で出走して81ポイントの高得点を獲得したのは、田中友紀(JZX100)。それまでの最高得点が76ポイントということも考えても、かなり難しい路面でベストに近い形で走り切ったことになる。その田中友紀を越えてきたのが、張 盛鈞(チョウ ショウジュン E92)だ。思い切った走りでマシン操り、83ポイントを獲得。一気にトップに立つ。その後、前戦で優勝した草場佑介(GR86)が82ポイントを出し、引き続き好調をアピール。さらに小橋正典(A90)が81ポイント、箕輪大也(GRカローラ)と高橋和己(E92)が82ポイントを獲得して、上位ランカーが80ポイント前半でひしめき合いながら、張 盛鈞(チョウ ショウジュン)を追う形となった。
予選2本目、雨も上がり始め路面も乾き出し、ウエットからハーフウエットへと変化する。難しい路面状況下でなかなか得点を伸ばすことができない。そんななか、後半は路面状況も回復傾向となり、ランキング上位選手が高得点をマーク。草場佑介が1本目同様の82ポイント、小橋正典も1本目同様の81ポイントを獲得するなど、安定の走りをみせた。そんななかでトップに立ったのが、2本目に85ポイントを獲得した箕輪大也だ。1本目から82ポイントを出して要所を押さえた走りが光り、2本目の高得点につながった。ランキングトップで最後に走行した高橋和己は、2本目に84ポイントを出し、1本目の82ポイントを大きく更新するも、惜しくも箕輪大也を交わすことは出来ず予選2位で終了した。3位は1本目に83ポイントを獲得した張 盛鈞(チョウ ショウジュン)、4位は草場佑介、5位には小橋正典が入った。
激闘のSUGOを制した
高橋和己がトップをキープ!
練習ドライ、予選は雨で決勝トーナメントはドライ…、今年はこのパターンが多い。さらにいえば、予選上位陣が崩れ、波乱になるという展開となることも多かった。しかしこの第4戦は予選上位が踏ん張りを見せた。
予選トップ通過の箕輪大也は、前戦での屈辱を払拭するべく、予選32位の堀野 仁(GR86)を倒してトップ16に進出。トップ16ではワンモアタイムの末、予選17位のエス チャナポン(S15)を倒して勝ち上がってきた予選16位の濵田清文(JZX100)を打ち破る。グレイト8では、予選9位の山中真生(A90)と対戦。箕輪大也先行の1本目、フィニッシュライン手前で山中真生が攻め過ぎたためかプッシュして2台ともにクラッシュとなった。2台とも大きなダメージとなったが、2台ともに修復して2本目を走り切る感動のバトルをみせた。この勝負は箕輪大也が勝ち取り、マシンにダメージを受けた形ではあるがファイナル4進出を果たした。
予選2位の高橋和己はトップ32で朱 元路(ジェリーズウ E92)と対戦。ここでワンモアタイムにもつれ込む苦戦を強いられる。しかしこの朱 元路(ジェリーズウ)を破り、トップ16で予選15位の大湯都史樹(GR86)と対戦し、ここも撃破。グレイト8では予選23位のRYUMA(JZX100)相手にワンモアタイムへ。ワンモアタイムでも2台ともに見事な先行をみせる一歩も引かない戦い。勝負の決め手は先行の差。RYUMAは2ゾーンが小さくなるなどの減点があり、全体的に高橋和己の先行が上回り、ファイナル4進出を果たした。
予選3位の張 盛鈞(チョウ ショウジュン E92)は、トップ32で予選30位のルカメルリ(JZX100)と対戦。勝負はワンモアタイムとなり、ワンモアタイムでルカメルリが勝利し、大金星を上げた。しかしそのルカメルリは、トップ16で予選19位の斎藤太吾(A90)に敗退。斎藤太吾は予選27位の松山北斗(A90)も倒してファイナル4進出に勝ち進む。
予選4位の草場佑介もトップ32で予選29位のシアムベンジャミン(S15)に敗退。予選3位と4位はトップ32で消える波乱の展開となった。シアムベンジャミンはトップ16でワンモアタイムの末、予選13位の益山 航(GR86)に敗退。グレイト8に進出したのは益山 航だ。その益山 航、グレイト8では予選5位の小橋正典を倒して勝ち上がってきた予選21位のミンミン(GR86)に敗れて姿を消し、ファイナル4進出を果たしたのはミンミンとなった。
ファイナル4の1組目は、箕輪大也 対 ミンミン。この対戦、どちらも先行と後追いを決めてワンモアタイムとなった。このワンモアタイムの1本目、先行の箕輪大也はここでも後追いのミンミンにプッシュされる接触があった。ここで2台は修復作業に入り、2本目を走行。2度の接触を受けた箕輪大也だが、このワンモアタイムも制してファイナル進出を果たした。
ファイナル4の2組目は、高橋和己 対 斎藤太吾の好カード。スピードある2台のマシンは見事な先行を披露。これぞドリフトバトルという戦いとなったが、斎藤太吾先行時の2本目に3ゾーンから4ゾーンに向かうところで斎藤太吾の失速があり、それが決めてとなって高橋和己の勝ち上がりとなった。
ファイナルは、予選1位の箕輪大也と予選2位の高橋和己の対決となった。箕輪大也先行の1本目、両者一歩も引かぬ好バトルをみせる。2本目は1ゾーンから2ゾーンで後追いの箕輪大也がやや遅れたという印象。この勝負、高橋和己が勝ち、今年嬉しい1勝目を上げた。2位に箕輪大也、3位には斎藤太吾が入った。
一戦一戦マシンもドライバーも限界ギリギリでの走りを続けて、第4戦が終了。ここでシリーズランキングのトップを死守したのは、317ポイントの高橋和己だ。ランキング2位は箕輪大也の293ポイントで、トップとの差は僅か24ポイント。このふたりが3位以下を引き離した形だ。ランキング3位はケングシで、215ポイント。トップとは102ポイント差は開いてはいるものの、残り2戦で3位のケングシがひっくり返す可能性も残している。第5戦のグランスノー奥伊吹、第6戦の岡山国際サーキットと、過酷なコースレイアウトでの戦いとなる。ドリフトの限界を越えたドラマチックなバトルは、最後まで続く。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 優勝
高橋和己(E92)
ランキング1位もまだ今期優勝がなかっただけに、シリーズチャンピオン獲得に向けて大きな1勝を獲得。このまま残り2戦も堅実な走りで戦い抜く。
仮表彰。優勝の高橋和己(中央)、2位の箕輪大也(左)、3位の斎藤太吾(右)。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 2位
箕輪大也(GRカローラ)
今回は2度の接触でマシンに大きなダメージを残しつつも、最後まで走り抜き2位を獲得。最後まで見事な走りをみせた。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 3位
斎藤太吾(A90)
なかなか調子が上がらなかったが、ここで3位を獲得。残り2戦で逆襲が始まる。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 4位
ミンミン(GR86)
今期はなかなか出場もままならない状況だったが、出場すれば上位を獲得するその実力はさすがだ。自身の出身地であるタイでも大活躍中だ。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 5位
山中真生(A90)
スピードある走りで、一気にトップドライバーとなったが、今回接触もあり苦しいレースが続く。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 6位
益山 航(GR86)
復活を感じさせる走りで、6位を獲得。残り2戦、どんな戦いをしてくれるのか楽しみだ。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 7位
RYUMA(JZX100)
松井有紀夫、山下広一とベテラン勢を撃破してグレイト8進出を果たした。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 8位
松山北斗(A90)
実力を感じさせる走りで勝ち上がるも、グレイト8で斎藤太吾に敗れ8位となった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 9位
小橋正典(A90)
常に勝てる状態でありながら、今期は成績を残せず悔しいレースが続く。それでもシリーズランキングは5位をキープする。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 10位
山下広一(E92)
予選7位からトップ16に進出。RYUMAに敗れたが、シリーズチャンピオンの実力は見せつける走りでギャラリーを沸かせた。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 11位
深田一希(JZX100)
予選11位からトップ16に進出。追走を克服して、残り2戦で上位を狙う。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 12位
大湯都史樹(GR86)
ドリフト初年度の今年、開幕戦から存在感をアピールし、この第4戦でも予選15位、決勝12位を獲得した。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 13位
濵田清文(JZX100)
今年からFORMULA DRIFT JAPANに参戦し、これまですべて決勝トーナメント進出を果たしている。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 14位
Mr.ダニエル(S13)
果敢に攻める走りで、予選25位からトップ16に進出し、14位を獲得した。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 15位
シアムベンジャミン(S15)
JZA80 スープラからS15に乗り換え、スピード感ある走りをみせて、予選29位からトップ16入りを果たした。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.4 16位
ルカ メルリ(JZX100)
予選30位も、トップ32で予選3位の張 盛鈞(チョウ ショウジュン)を破り、トップ16に進出した。
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)