2025 FDJ2 Rd5 奥伊吹 レポート&リザルト

奥伊吹モーターパーク第5戦は
新レイアウトで行われた

使用タイヤは「YOKOHAMA ADVAN NEOVA AD09」、使用ホイールは「MID WHEELS」で行われているFDJ2。タイヤとホイールにワンメーカー・ワンメイクルールを採用し、ドリフト競技史上初の試みで、よりイコールコンディションに近い形で開催されている。

第1戦はFDJ3から昇格した江崎台地、第2戦は中村総士郎、第3戦は水野俊彦、そしてスポーツランドSUGOで行われた第4戦は前年度シリーズチャンピオンの長瀬幸治が優勝、毎回勝ち名乗りを上げる選手が替わるという大激戦で行われているが、これまで確実にポイントを積み交わせてきた中村総士郎が、2位の長瀬幸治に37ポイント差を付ける展開。この第5戦はシリーズを狙う上で大切な一戦となった。

高得点が出にくいなか
決めたのは17歳のジェイス!!

奥伊吹モーターパークでは、FDJ2とFDJ3が開催されている。開催当時から昨年まで同じレイアウトで行われてきたが、今年から大きく変更した新レイアウトでの開催となった。コースは、この奥伊吹モーターパークのスペースを最大限に使い、カーブしながら1コーナーに進入する形で1アウトゾーンを目指す。インクリップを通って2アウトゾーン、右コーナーが連続する3アウトゾーン、そして1アウトゾーンを逆走するように進入する4アウトゾーンを抜けてフィニッシュとなる。気持ちよくアクセルを踏んで抜けていくコーナーが多く、魅せるドリフトが可能となるコースだ。しかしコースアウトなどの減点もしやすく、いかに気持ちを抑えながら、気持ちよくドリフトをしていけるかがポイントとなりそうだ。

予選1本目、かなり見た目には迫力あるドリフトで抜けていく選手が多いが、やはりコースアウトと判定されるケースも多く、スタートからゼロポイントが4連発となった。その後もなかなか高得点を獲得出来ずに進んだ。そんななか、13番手にスタートした永広和也(S14)は77ポイントの高得点を獲得。メリハリある走りでトップに立つ。

その後、HINATO(JZX100)が76ポイント、ジェイス(Z33)が75ポイントと肉薄するも、永広和也はトップをキープ。1本目ラスト3名で出走した水野俊彦(S15)がトップタイの77ポイントを獲得。江崎台地(S15)72ポイント、長瀬幸治(IS350C)0ポイント、中村総士郎(S15)63ポイントと上位陣も苦しむなか1本目は終了した。

2本目も豪快なドリフトは連発するも得点自体は伸びない、そんな流れで進む。1本目75ポイントのジェイスが、すべてのコーナーをキレイにクリアした走りで89ポイントを獲得してトップに立ち、2位以下を大きく離していく。第4戦で2位の秦 錦鈞(チンシジュン E92)が78ポイントを出して2位に浮上。1本目77ポイントの水野俊彦は2本目も77ポイントで3番手に付けるも、最後に出走した中村総士郎が79ポイントを獲得して一気に2位に上がり、3位は秦 錦鈞(チンシジュン)、4位は水野俊彦、5位は永広和也となった。

予選で1位と2位が10ポイント差を付けた大会はこれまでにない。それだけ新レイアウトが難しかったということと、ジェイスの89ポイントが得点以上のレベルの高い走りだったといえよう。この新コースは、これまでよりコースが長くなった分だけでなく、テクニック的に見ても面白いドリフトの審査に向いたレイアウトだったといえるだろう。

意地と気迫のドリフトで
2度目の頂点に立つ!

予選、決勝ともにドライコンディションで行われた第5戦は、決勝トーナメントも予選同様過酷な戦いとなった。それを裏付けたのがワンモアタイムの多さだ。トップ32で4回あり、接戦に次ぐ接戦であることはいうまでもない。この日ワンモアタイムは計8回行われたのだ。

とにかく見応えある組み合わせが多かったのも事実。トップ32では、今年優勝経験のある予選16位の江崎台地と予選17位の長瀬幸治が対戦。まさにファイナルのような戦いがトップ32で行われたのだ。この戦いは当然のようにワンモアタイムとなり、僅かな差で江崎台地が勝利した。江崎台地は、トップ16で予選1位のジェイスと対戦。この戦いもワンモアタイムとなり、ジェイスが競り勝ちグレイト8進出を果たす。この時点で今年の優勝経験者2名が姿を消す展開となった。

ジェイスはグレイト8で予選8位の胡 浩霖(ウーティーミー GR86)と対戦。この戦いもワンモアタイムとなるも、ワンモアタイム1本目走行後に胡 浩霖(ウーティーミー)は駆動系のトラブルが発生しリタイアとなり、ジェイスが辛くも勝ち上がりを決め、ファイナル4に駒を進める。

予選2位の中村総士郎は、トップ32は予選31位の鈴木憲司(JZX100)に勝利しトップ16に進むも、トップ16で予選18位の小林竜也(JZX100)に敗退。これで今年の優勝経験者のうち3名がトップ16で姿を消した。小林竜也は、予選10位の木村楓雅(JZX100)、予選7位のMSG MINAMI(S13)を倒して勝ち上がってきた予選23位の青木竜介(JZX100)と対戦。ここも勝ち上がり、ファイナル4に進出した。

予選3位の秦 錦鈞(チン シジュン)も調子が良い。予選30位の糸山宗兵(RPS13)、予選14位の川瀬羚也(PS13)、予選6位のHINATOを倒してファイナル4に進出。予選4位の水野俊彦も予選29位のラーマンラセル(JZX100)、予選20位の楊 健文(イェン ケン SXE10)、予選5位の永広和也を倒してファイナル4進出を果たした。

ファイナル4の1組目、圧倒的な走りで予選1位通過のジェイスと今年の優勝経験者である水野俊彦の戦い。水野俊彦は気迫溢れるドリフトでジェイスを破り、ファイナルへ。

ファイナル4の2組目は、前戦から調子を上げてきた秦 錦鈞(チン シジュン)と昨年の奥伊吹モーターパークの覇者、小林竜也の戦いだ。この戦いは秦 錦鈞(チン シジュン)が制した。

今回のファイナルは、第3戦で優勝した水野俊彦と第4戦で2位を獲得した秦 錦鈞(チン シジュン)の対決。かなり激しいドリフトバトルとなったこの戦い、決着がつかずにワンモアタイムの判定となった。ワンモアタイムでもアグレッシブなドリフトで会場を沸かせた2台のバトルは、水野俊彦が制して、今年2度目の優勝に輝いた。

これでシリーズチャンピオンの行方は、最終戦に持ち越された。しかも最終戦は、FORMULA DRIFT JAPANと併催となる岡山国際サーキット。第3戦のスポーツランドSUGO同様に予選通過は16台。この狭き門でシリーズチャンピオン争いが行われることとなった。

第5戦終了時点で、350ポイントを獲得しトップに立つのは中村総士郎。これまでトップを死守してきたが、2勝目を上げて猛追する2位の水野俊彦との差は僅か3ポイント。3位の長瀬幸治が293ポイント、4位の江崎台地が263ポイントと3位以下は差を付けられた形となったが、最終戦の決勝トーナメントはトップ16から。もし上位2名が予選敗退となれば、3位以下にもチャンスが生まれる。そんなことも起こりうるのが、岡山国際サーキットなのだ。中村総士郎が決めるか、水野俊彦が追い上げるか、それとも3位以下の大逆転があるのか、とにかく岡山国際サーキットのFDJ2ですべてが決まる。

今年から会場に登場した大会スポンサーバナー。

FDJ2 Round.5 優勝
水野俊彦(S15)
予選4位から大躍進をみせて、ファイナル進出。第3戦以来となる今年2勝目を挙げた。

優勝した水野俊彦とチームスタッフたち。表彰台前にて記念撮影。

仮表彰。優勝の水野俊彦(中央)、2位の秦錫鈞(チンシジュン 左)、3位のジェイス(右)。

ステージトラックで行われた表彰式。優勝の水野俊彦(中央)、2位の秦 錫鈞(チンシジュン 左)、3位のジェイス(右)。

FDJ2 Round.5 2位
秦 錫鈞(チン シジュン E92)
予選3位で決勝トーナメントに進出し、2戦連続での2位を獲得。マシントラブルを抱えながらかなり苦しい戦いを強いられたが、実力をみせた結果となった。

2位の秦 錫鈞(チン シジュン)とチームスタッフたち。

FDJ2 Round.5 3位
ジェイス(Z33)
予選を圧倒的な走りで突破し、ワンモアタイムを2度制してファイナル4に進出した。

予選では89ポイントを獲得し、2位以下に10ポイント以上の差をつけての単走優勝を遂げた、ジェイスの予選での走り。

3位のジェイスとチーム関係者たち。

FDJ2 Round.5 4位
小林竜也(JZX100)
昨年優勝した奥伊吹モーターパークでの一戦。レイアウトは大幅に変更されたが、予選18位からファイナル4進出を果たした。

FDJ2 Round.5 5位
永広和也(S14)
予選1本目で覚醒し、予選5位を獲得。追走でもトップ16でワンモアタイムを制すなど、活躍した。

FDJ2 Round.5 6位
HINATO(JZX100)
前戦では予選落ちを喫したが、その鬱憤を晴らすべく、予選6位からグレイト8に進出した。

FDJ2 Round.5 7位
胡 浩霖(ウー ティーミー GR86)
予選8位から決勝トーナメントに進出。グレイト8ではジェイスと対戦し、ワンモアタイムに持ち込むも、マシントラブルにより敗退となった。

FDJ2 Round.5 8位
青木竜介(JZX100)
安定感のある走りは健在。予選23位からグレイト8進出を果たした。

FDJ2 Round.5 9位
中村総士郎(S15)
第2戦で優勝し、第3戦2位と、抜群の成績で活躍するも、第3戦目以降は決勝トーナメントでの敗退が目立つ。それでもシリーズランキング1位をキープして最終戦に臨む。

FDJ2 Round.5 10位
杉崎先生(S15)
予選9位から決勝トーナメントに進出。トップ32では小林知彦相手にワンモアタイムの末勝利。勝負強さもみせた。

FDJ2 Round.5 11位
山口洋平(S15)
予選11位を獲得し、決勝トーナメントに進出。トップ16では永広和也と対戦し、ワンモアタイムの末敗れ、11位に終わった。

FDJ2 Round.5 12位
川瀬羚也(S14)
予選14位からトップ16に進出。なかなか苦しい戦いが続くが、シリーズランキングは13位と健闘中。

FDJ2 Round.5 13位
江崎台地(S15)
昨年FDJ3でシリーズチャンピオンを獲得し、今年からFDJ2に挑戦。開幕戦で優勝し、現在シリーズランキングは4位。

FDJ2 Round.5 14位
楊 健文(イェン ケン SXE10)
予選20位から井上スチュアートをトップ32で破り、トップ16に進出。今年初の決勝トーナメント入りを果たした。

FDJ2 Round.5 15位
北芝倫之(GR86)
今回からエンジンを変更して挑み、予選22位からトップ16入りを果たした。

FDJ2 Round.5 16位
水井大揮(S15)
予選26位。昨年活躍したが、今年は波に乗り切れない。しかし今回はトップ16に進出。敗れはしたが、存在感をアピールした。

トップ32表彰式。

トップ16セレモニー。

表彰式後に行われた、上位入賞者のトークショー。1位から3位までの選手が参加した。

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)