2024 FD JAPAN Rd3 エビス西 レポート&リザルト

今年沈黙の2023年チャンピオンが復活の狼煙を上げた!

ドリフトの聖地として世界的に有名なエビスサーキット。数あるコースのなかで、FORMULA DRIFT JAPANのシリーズ戦が始まった当初から行われているのが西コースだ。これまで同じレイアウトで行われてきたが、今年からよりアグレッシブな見応えあるコースレイアウト変更して、注目を集めた。

1アウトゾーンからコンクリートウォールで仕切られた2アウトゾーンを抜け、タッチアンドゴー、インクリップ、そして3アウトゾーンとなかなかテクニカルなレイアウト。特に2アウトゾーンに設けられたコンクリートウォールでのロングな壁寄せドリフトは圧巻。アメリカのFORMULA DRIFTを彷彿させるコースに酔いしれた2日間となった。

FORMULA DRIFT USAのドライバーが新コースで魅せた、決めた!!

FORMULA DRIFT JAPANは年間6戦で行われる。このエビスサーキット・西コースでのラウンドはちょうど折り返し地点となる3戦目となる。第2戦終了時点で、髙橋和己(BMW E92)が172ポイントで1位、山下広一(BMW E92)が1ポイント差の171ポイントで2位に付けるTMS RACING TEAM GOODRIDEが上位を独占。3位は117ポイントのケングシ(IS500F)、4位は90ポイントの山中真生(A90)、5位は88ポイントのユキオファスト(S15)と続く。4位から9位まではそう差がなく、予選日、決勝日ともにドライ路面で行われたこの第3戦が、シリーズを争う大事な1戦となるのだ。

意外と簡単そうに見える新レイアウトのコースだが、1ゾーンの取り方が肝になり、予選も得点が伸びない。そんななか、1本目に84ポイントを獲得したのは、麻植隆太郎(FD3S)だ。開幕戦はTOP32で敗退し第2戦は欠場したKANTA(RZ34)も1本目に82ポイント、小橋正典(A90)、草場佑介(GR86)も1本目から85ポイントを出し、トップに立つ。ユキオファストと山中真生も81ポイントと、80ポイントは超えてくるが、なかなか90ポイント越えは出ない状態が続く。USAのFORMULA DRIFT に参戦するケングシは、このコンクリートウォールを制すべく果敢に攻め、93ポイントで一気にトップに立った。

2本目、昨年FDJ2で活躍し、今年からFORMULA DRIFT JAPANに昇格した女性ドライバーの高璇(ガォウ エコー・PS13)が84ポイント、KANTAは87ポイント、山中真生は86ポイントを出してくるも、トップには届かず。絶好調のケングシは2本目に89ポイントを出し、さらに引き離しにかかる。最後に登場した、髙橋和己の2本目、豪快な走りで90ポイントを獲得するも、ケングシの1本目の得点には届くことはなかった。単走優勝は、ケングシが獲得。2位に髙橋和己、3位にKANTAが入り、決勝トーナメントに挑む。

波乱含みの追走決勝は歴代シリーズチャンピオンが意地を魅せた

予選1位で通過し、絶対的強さを感じさせたケングシだが、トップ16で山下広一と対戦し敗退。予選2位の髙橋和己はトップ32の1本目走行中、ボンネットのボンピンが片方外れていることが発覚。先行が0ポイントとなり、そのまま巻き返すことも出来ずに堀野 仁(GR86)に敗退。早くも予選上位2名が消えるという大波乱となった。

予選3位のKANTAは、トップ32で予選30位の植村真一(JZX100)、トップ16で予選19位の伍家麒(エン チャールズ・ZN86)を倒し、順調に勝ち上がる。グレイト8では予選11位の中村直樹(GR86)と対戦。ここまで車間距離を詰めた過激なドリフトで勝ち上がってきた中村直樹相手に、ここでも安定したドリフトを魅せて突破。さらにファイナル4では、予選から調子の良い麻植隆太郎と対戦。麻植隆太郎は、グレイト8で松山北斗とのクラッシュでマシンを修復しての戦いとなった。ここもKANTAは力強い集中力のある走りを見せて勝ちを決めて、ファイナル進出を果たした。

予選4位からトップ16で日比野哲也、グレイト8で小橋正典を破ってファイナル4進出を果たした山中真生。ファイナル4では予選トップのケングシを破り勝ち上がってきた山下広一と対戦。第2戦でもファイナル4で山下広一と対戦し敗れているだけに、ここはなんとしても勝ちたいところだった。しかし気迫溢れる走りを見せた山下広一にまたしても敗退。今大会も3位に終わった。

ファイナルは、2度のシリーズチャンピオンを獲得している山下広一と、昨年のシリーズチャンピオン、KANTAの対戦となった。どちらも一歩も引かぬ見事なドリフトで、1回では結着が付かず、ワンモアタイムへ。ワンモアタイムでもレベルの高い走りを披露したが、僅差ではあったがここはKANTAが優勝を決めて、昨年王者の実力を魅せつけた。

第3戦を終了した時点で、シリーズランキングのトップに立ったのは、山下広一。2位には髙橋和己が付け、順位こそ入れ替わったが、TMS RACING TEAM GOODRIDEのワンツー状態。3位と4位も入れ替わり、3位には山中真生、4位にケングシとなった。しかし10位まで混戦状態で、残り3戦の成績次第ではガラッとランキングの順位が変わっても不思議はない。シリーズの行方はまだまだ目が離せない。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 優勝
KANTA(RZ34)
開幕戦はエンジントラブルでリタイアし、第2戦は欠場と、流れに乗れないラウンドが続いたKANTAだったが、予選3位から見事優勝を飾った。的確なマシンコントロールと迫力ある走りは、マシンをチェンジしても健在だ。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 2位
山下広一(BMW-E92)
開幕戦3位、第2戦優勝、そして今回2位と、完全復活を感じさせるベテランドライバー。ファイナルのワンモアタイムで敗れはしたものの、シリーズランキングは1位に浮上。3度目のシリーズチャンピオンを狙うのに絶好の位置をキープしている。

優勝したKANTA(中央)、2位の山下広一(左)、3位の山中真生(右)。

優勝を獲得したKANTAとTeamORANGE with LINGLONG tire。

2位の山下広一とTMS RACING TEAM GOODRIDE。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 3位
山中真生(A90)
2戦連続で3位を獲得し、今年注目度ナンバーワン。FORMULA DRIFT JAPAN参戦3年目、ランキング上位を狙う。

3位の山中真生とGOODRIDE MOTORSPORTS。

単走優勝を獲得したTeam kazama with Moty’sのケングシ(IS500F)。予選での走り。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 4位
麻植隆太郎(FD3S)
予選で7位を獲得するとファイナル4まで勝ち上がる。グレイト8では松山北斗相手に善戦し、クラッシュの影響でダメージを負うも、時間内に修復してファイナル4に間に合わせて最後まで走り切るチーム力もみせた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 5位
小橋正典(A90)
練習走行から終始安定した走りを見せ、予選を5位で通過。トップ32で同チームのミンミン、トップ16では田中友紀を倒し、グレイト8まで勝ち上がるも山中真生に敗退。5位に終わった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 6位
中村直樹(GR86)
マシンを自在に操り、車間距離を詰めた走法は流石中村直樹をいうべきか。予選11位からファイナル4まで勝ち進み、KANTAに敗れはしたものの、常に注目を集める走りはいうまでもない。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 7位
松山北斗(GR86)
アグレッシブな走りで注目を集めていたが、グレイト8で2ゾーンのコンクリートウォールで大破。ファイナル4へ勝ち上がることは出来なかった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.3 8位
ポン(S15)
予選は25位だったが、トップ16では益山航相手にワンモアタイムを制するなど、上昇を感じさせる走りを見せた。残り3戦にも期待がかかる。

予選では圧倒的な走りで単走優勝を獲得したケン グシ。決勝トーナメントでも期待がかかっていたが、トップ16で山下広一に敗れ、9位に終わった。

予選6位を獲得した草場佑介。トップ16に勝ち上がるも、中村直樹に敗退。今回は10位に終わった。しかしシリーズランキングは7位をキープ。

メキメキと実力を付けてきたルーキー・RYUMA。今年から乗っているJZX100も自在に操るようになった。予選10位、決勝11位で終了した。

予選13位からトップ16に進出した日比野哲也。トップ16では同チームの山中真生と対戦。両者一歩も引かない過激なバトルは見応えがある戦いだった。決勝は12位。

予選19位でトップ32では勢いある葉志成(イエ ジチェン・A31)と対戦。この対戦をものにしてトップ16進出した伍 家麒(エン チャールズ)。トップ16ではKANTAと対戦し敗れたものの決勝13位を獲得した。

予選21位から勝ち上がり、トップ32でポップを倒した田中友紀。トップ16で小橋正典に敗れ、14位に終わった。

トップ32ではユキオファストを倒すなどの活躍を見せた、予選24位の益山航。トップ16ではワンモアタイムの末、ポンに敗れ15位で終了した。

苦しみながらも予選31位で決勝トーナメント進出を果たした、堀野仁。トップ32で髙橋和己を破り、トップ16に進出し、松山北斗と対戦。ここで敗退も16位を獲得。

多くの観客やキッズウォーキング参加者に見守られながら行われた、トップ16セレモニー。

FORMULA DRIFT JAPANRD.3、トップ32表彰式。

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)