小林竜也が初出場で初優勝の快挙!
シリーズ争いは長瀬幸治が辛くも逃げ切る!!
台風の影響で延期となっていた第5戦。10月25日(金)~26日(土)に、滋賀県の奥伊吹モーターパークで開催された。ラウンドは第5戦となるが、事実上の最終戦となる今回、熾烈なシリーズチャンピオン争いも話題となった。ひとつ前のラウンドである第6戦で、379ポイントを獲得した長瀬幸治がトップ。それを負うのが、第1戦と第2戦を連勝した与座ハリー。その差僅か27ポイント。見応えたっぷりの最終戦は、終始ドライ路面で行われた。
新しく設定されたコースで
32台の予選通過枠を目指す
昨年もテクニカルコースとして、どう攻略するかがポイントだった奥伊吹モーターパークだが、今回レイアウトの一部が変更され、さらに難解なコースとなった。FDJ2はADVAN NEOVA AD09のワンメイクレースで行われており、誰も走行していないレイアウト同様イコールコンディションでの争いとなった。
スタート地点から約70m地点にタッチアンドゴーが設置され、3つのアウトゾーンをクリアしてフィニッシュとなる。タッチアンドゴーからひとつ目のコーナーとなる1アウトゾーンをキレイにクリアしないとリズムを崩してしまい、ひとつのミスが致命傷になりかねないコースレイアウト。予選のラインとアングルの得点配分は、タッチアンドゴー5ポイント、3つのアウトゾーンは各10ポイント。それにスタイルの30ポイントが加算され、合計100ポイントが満点となる。
予選1本目、トップバッターで今回初参戦の小林竜也(JZX100)がいきなり80ポイントの高得点をマーク。今回も第6戦の岡山国際サーキットラウンド同様、ハイレベルは予選を予感させた。9番手でスタートした稲岡拓也(RPS13)が86ポイントを出し、6ポイント差をつけた形でトップに立つ。中盤スタートしたセナ(JZX100)も86ポイントをマークするなど、激しい単走争いとなった。シリーズランキング4位の高校生ドライバー・川瀬羚也(S14)は85ポイントを獲得するも3番手。さらに1本目最後の走行となったシリーズランキングトップの長瀬幸治(IS350C)がなんと0ポイントに終わるなど、波乱の1本目となった。
1本目80ポイントだった小林竜也の2本目、ライン・アングルをキッチリ取った形で85ポイントと得点を伸ばす。1本目82ポイントだった池本数磨(JZX100)が2本目に88ポイントを獲得してトップに立ち、そのまま逃げ切って予選1位で単走優勝に輝いた。予選2位は86ポイントのセナ、予選3位は同じく86ポイントの稲岡拓也が入った。今回の予選通過のボーダーラインは71ポイント。2本目最後に走行した長瀬幸治が80ポイントを獲得。長瀬幸治は予選落ちを免れたが、70ポイントの33位で予選落ちとなったのは、これまでフォーミュラDジャパンでも活躍し、今年初参戦となる北芝倫之(ZN6)。あと一歩届かず、予選で姿を消した。
チャンピオン争いを繰り広げる
長瀬VS与座はグレイト8で直接対決
予選1位で通過した池本数磨はトップ32で予選32位のリーヒューバート(GR86)を破りトップ16入りを果たすも、トップ16で対戦した長瀬幸治に敗れ9位。予選3位の稲岡拓也はなんとトップ32で予選30位の野口英譲(GR86)に敗退。予選4位の川瀬羚也もトップ32で予選29位のケン(LEXUS)に敗れ、18位で終了するなど、波乱の決勝トーナメントとなった。
予選1位の池本数磨を破った長瀬幸治は、グレイト8で与座ハリー(HCR32)と対戦。この戦いで長瀬幸治が勝てばシリーズチャンピオンが決定。与座ハリーが勝てば、ファイナル進出でシリーズチャンピオンが獲れる、そんな形だ。両者にとってシリーズチャンピオンを獲得するための大事な1戦。この戦いは、1回の対戦では決定できずワンモアタイムへ。このワンモアタイム1本目、先行する与座ハリーにスレスレまで迫る長瀬幸治の気迫の走りを見せつけた。しかし入れ換えての2本目、先行の長瀬幸治は、タッチアンドゴーで痛恨のミスを出し、敗退。与座ハリーが勝利しファイナル4進出を果たした。与座ハリーとファイナル4で対戦するのは、予選5位の小林竜也。小林竜也はトップ32で予選28位の深澤光(SXE10)と対戦し、ワンモアタイムにもつれ込む。ワンモアタイムで制した小林竜也は波に乗ったのか、トップ16で予選12位の水井大輝(S15)、グレイト8でケンを倒してファイナル4に駒を進めてきた選手だ。この対戦を制すればシリーズチャンピオンが決定する与座ハリーだったが、この戦いで小林竜也に敗退。無念にもシリーズチャンピオンにはあと一歩届かず。この与座ハリーの敗退を受けて、長瀬幸治のシリーズチャンピオンが決定した。
予選2位のセナは、トップ32で中村進太郎(S15)、トップ16で予選15位の石塚進一(ECR33)、グレイト8で予選7位の杏仁さん(S15)を倒し、順調にファイナル4に進出。ファイナル4でセナの対戦相手となったのは、トップ32でMr.ダニエル(S15)、トップ16で野口英譲、グレイト8で予選6位の青木竜介(JZX100)を倒して勝ち上がってきた、予選19位の冨手和行(JZX100)だ。冨手和行は第6戦の岡山国際サーキットラウンドで4位に入るなど、実力を上げてきている選手のひとり。そんな勢いもあり、冨手和行はセナを倒してファイナル進出を果たした。
ファイナルは今回FDJ2初出場の小林竜也と今年FDJ3から昇格してきた冨手和行の戦い。最後までしっかりとした走りを続ける冨田和行だったが、安定して迫力ある走りを繰り出す小林竜也の前に敗退。小林竜也は、最終戦となる第5戦の勝者となった。
FDJ2 Round.5 優勝
小林竜也(JZX100)
FDJ2は今回が初出場。予選から目を引く走りで5位を獲得するなど、常に今回の台風の目になることを予感させ、決勝トーナメントに入ってからもトップ32ではワンモアタイムに、もつれ込むなど苦しむ姿はあったが、その後は順当に勝ち上がり優勝を決めた。
コース上での仮表彰式で、優勝の発表のあと両手を上げて声援に応える、小林竜也。
FDJ2 Round.5 2位
冨手和行(JZX100)
予選を19位で通過し、Mr.ダニエル、青木竜介、勢いある走りを見せたセナなどの強豪を倒してファイナル進出を果たす。あと1つ勝つことはできなかったが、FDJ2参戦1年目で2位を獲得した。
FDJ2 Round.5 3位
セナ(JZX100)
前戦となる第6戦は予選落ちなど、今ひとつ勢いに乗れないラウンドが続いたが、今回は予選から力強い走りで2位を獲得しファイナル4進出を果たした。
ステージトラックで行われた表彰式。優勝した小林竜也(中央)、2位の冨手和行(左)、3位のセナ(右)。
コース上で行われた仮表彰式。左から2位の冨手和行、1位の小林竜也、3位のセナ。
FDJ2 Round.5 4位
与座ハリー(HCR32)
今年は第1戦、第2戦を制し、間違いなく与座ハリーの年を予感させたが、後半勝ち切れずにシリーズランキングも2位に終わった。しかし今回グレート8で見せた長瀬幸治とのバトルは歴史に残る戦いだった。
FDJ2 Round.5 5位
青木竜介(JZX100)
予選6位からグレイト8に進出。グレイト8では冨手和行に敗れるも、キッチリと角度を付けてラインをトレースする走りは見事だった。
FDJ2 Round.5 6位
杏仁さん(S15)
予選7位からグレイト8に進出。トップ16で箕輪昌世を倒すなど、人気も実力も本物だ。
FDJ2 Round.5 7位
長瀬幸治(IS350C)
今回はシリーズチャンピオンを賭けた大事な1戦となった。予選17位からグレイト8に進出し、シリーズチャンピオン争いをしている与座ハリーと対戦。この対戦には敗れはしたものの、シリーズチャンピオンを獲得。2位与座ハリーとの差は僅か9ポイント差だった。
FDJ2 Round.5 8位
YEUNG KEN(LEXUS)
予選29位から決勝トーナメントに進出し、川瀬羚也、水野俊彦といった強豪を倒してグレイト8進出を果たした。
FDJ2 Round.5 9位
池本数磨(JZX100)
予選では88ポイントを獲得し、1位に。トップ16で長瀬幸治に敗れたが、単走2本目で見せた走りは豪快だった。
FDJ2 Round.5 10位
箕輪昌世(JZX100)
予選10位から決勝トーナメントに進出。いつでも勝てる力はあるも追走では勝ち切れない。今回もトップ16で杏仁さんに敗退して10位に終わった。
FDJ2 Round.5 11位
水井大輝(S15)
会場入りしてコースを確認し、走行前にファイナル交換するなど、気合の入ったラウンドだったが、予選12位、決勝11位に終わった。
FDJ2 Round.5 12位
水野俊彦(S15)
予選13位で決勝トーナメント進出を果たし、トップ32では予選28位の深田一希を倒してトップ16へ。トップ16ではケンに敗れて12位に終わった。
FDJ2 Round.5 13位
石塚進一(ECR33)
予選15位で決勝トーナメント進出を決め、トップ16まで勝ち進むもセナに敗れて13位。どんなコースでも確実に自分の走りをする姿は印象に残った。
FDJ2 Round.5 14位
糸山宗兵(RPS13)
トップ32では田島祐一との九州勢対決を制し、トップ16入りを果たす。トップ16で青木竜介に敗れはしたものの、安定した走りを見せてくれた。
FDJ2 Round.5 15位
ラバー博士(S14)
予選24位でトップ32入り。トップ16では与座ハリーと対戦し敗退したが、常に勝てる力を感じさせる走りだった。
FDJ2 Round.5 16位
野口英譲(GR86)
予選30位から決勝トーナメント進出を果たす。予選3位の稲岡拓也を倒してトップ16入り。トップ16では冨手和行に敗退となった。
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)