若手ルーキーが開幕戦から大活躍をみせた
FORMULA DRIFT JAPANの下位カテゴリーとなるFDJ3は、今年で3年目のシーズンを迎えた。今年は全6戦とラウンド数もひとつ増え、さらに激しいチャンピオン争いが期待される。
昨年ランキング上位はほとんどがFDJ2にステップアップしたが、また新たなドライバーを加えた合計60名がエントリー。なかでも10代のドライバーが6名など、ドリフト新時代を予感させる戦いが繰り広げられる。開幕戦は、栃木県の「つくるまサーキット那須」で開催。テクニカルなコースに新旧交えたドリフトドライバーが挑んだ。
初エントリーの中村龍輝が高レベルの走りで単走優勝に輝く
2025年のFORMULA DRIFT JAPANの幕開けとして、1番手で開幕したのがFDJ3。今年もワンメイクタイヤでのドリフト大会として開催。昨年同様、ヨコハマゴム製タイヤが指定され、全選手が「ADVAN APEX (アドバン エイペックス)V601」を装着して、イコールコンディションでの戦いが繰り広げられることとなった。ADVAN APEX V601は、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤで、非対称トレッドパターンが特長で、扱いやすいという点で好評のタイヤだ。
開幕戦のコースは、つくるまサーキット那須。ジムカーナなどのモータースポーツ競技はもちろん、ドリフトでも人気のコース。昨年のFDJ3 第4戦に初開催され、アウトゾーン等の位置は僅かな変更点はあったものの、ほぼ今回同様のレイアウトでの戦いとなった。
昨年同様、ホームストレートの途中にスタート地点を設け、1コーナーに1アウトゾーン、テクニカルなヘアピンコーナー手前にタッチアンドゴー、ヘアピンコーナーに2アウトゾーン、その次のコーナーに3アウトゾーンでフィニッシュというコースレイアウト。1コーナーへスピードを乗せて角度あるドリフトで進入し、ドリフトを維持しながらタッチアンドゴーや2アウトゾーンを抜け、ヘアピンで減速しつつ3アウトゾーンを目指すという、見た目以上に難易度が高い。
年間エントリーは60台だが、開幕戦の予選に参戦したのは45台。うち26台が初エントリーで、2台が昨年までFDJ2に参戦していたドライバーとなる。
予選1本目、8番手でスタートした徳山昇英(GC10)が、いきなり82ポイントを獲得。オールドスタイルのハコスカにRBエンジンを搭載し、勢いあるドリフトでフィニッシュラインまで抜けていく姿は迫力ありだ。しかし、その2台後にスタートした中村龍輝(S15)が切れのある走りで84ポイントを獲得してトップに。徳山昇英が15歳、中村龍輝が14歳と、今年初参戦の超若手ルーキーが、予選1本目から盛り上げる。しかし昨年も参戦し、シリーズランキング11位で18歳の飯島優惺が85ポイントを出してトップに立ち、1本目が終了した。
2本目も70ポイント後半の得点が続出するハイレベルな予選となった。1本目の得点で2番手に付けていた中村龍輝は、1本目を大きく上回る89ポイントを獲得してトップに返り咲く。さらに1本目は0ポイントに終わった15歳の前田慶(AE86)が85ポイントを獲得するなど、10代が予選通過のボーダーラインを引き上げていく。
結果、89ポイントの中村龍輝が単走優勝に輝き、85ポイントの飯島優惺が2位、同じく85ポイントを獲得した前田 慶が3位に入り、10代のドライバーが予選1位から3位までを独占した。予選通過ラインは77ポイント。ここに20代の女性ドライバー・黒田真由(ECR33)、ベテランドライバーの高宮悠樹(JZX110)と新川武志(RPS13)が入り、追走での決勝トーナメントへ進んだ。惜しかったのは、76ポイントの川島雄也(JZX100)、宮城憂梨愛(FD3S)、船橋 竜(Z33)の3名。さらに昨年までFDJ2に参戦していた、箕輪昌世(JZX100)とオタハラジュニオル(RPS13)も予選で姿を消した。
レベルの高い戦い続出の追走バトル
10代ドライバーが表彰台を独占した
単走予選で活躍したドライバーは、追走に入ってからも走りで魅せる。驚くべきことに、今回参戦した10代のドライバー6名全員が予選を通過して決勝トーナメントに進出。しかも半数以上の9名が20代以下での戦いとなった。
予選1位の中村龍輝は、トップ16で予選16位の新川武志を倒し、グレイト8では予選8位の田村行稔(RPS13)を倒して勝ち上がってきた予選9位の茂木真那斗(RPS13)と対戦。茂木真那斗は前日の練習走行でマシントラブルに見舞われ、急遽練習カーであるRPS13での参戦となった。この14歳対決はワンモアタイムにもつれ込む。しかし茂木真那斗は、コースインするもスタート前にデフブローとなりリタイアとなってしまった。不運な負け方となったが、今後も見たいカードであることは間違いない。
中村龍輝はファイナル4で徳山昇英、上原詠太(S15)の15歳勢を倒して勝ち上がってきた皆川一茶(S15)と対戦。ここも勝ち上がり、ファイナル進出を果たした。
予選2位の飯島優惺も、予選15位の高宮悠樹、GR86に変更して豪快な走りを見せる予選10位のARISA(GR86)を倒してファイナル4に進出。ファイナル4では予選3位でAE86に乗る15歳の前田慶と対戦。この戦い、ワンモアタイムの末に前田慶を破り、ファイナル進出を果たした。
ファイナルは予選1位と2位の対決となった。中村龍輝先行の1本目、お互いベストの走りで駆け抜ける。入れ換えての飯島優惺先行の2本目、距離を縮めて接近ドリを魅せた中村龍輝だが、ややラインが小さくなってしまったように見えた。この戦いを制したのは、飯島優惺。仮表彰で勝ち名乗りを受けると、全身で喜びを表現。その喜びの姿が印象的だった。昨年から出場してきた先輩としての意地を見せた、見事な初優勝だった。2位となった中村龍輝も、初挑戦で単走優勝&決勝2位を獲得。見事な結果だった。
今年のFDJ3は開幕から見応えあるドリフトの連続だった。世代を超えたドリフトバトルは今年更に激しさを増し、そして誰が頂点に立つのか、最後まで目を離せない戦いが続く。第2戦は、5月6日(月・祝)に三重県の鈴鹿ツインサーキットで行われる。
飯島優惺(JZX90)
FDJ3 Round.1 優勝
昨年から参戦し、シリーズランキングは11位。開幕戦は練習からその実力を見せつける走りで、予選2位、決勝1位を獲得した。
仮表彰で両腕を高らかと上げて喜びを全身で表現した飯島優惺。見事な初優勝だった。
表彰式。優勝した飯島優惺(中央)、2位の中村龍輝(左)、3位の前田 慶(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。自身の愛車とともに登場した。左から、2位の中村龍輝、優勝の飯島優惺、3位の前田 慶。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。左から、2位の中村龍輝、優勝の飯島優惺、3位の前田 慶。
FDJ3 Round.1 2位
中村龍輝(S15)
今回FDJ3に初チャレンジの14歳。予選では89ポイントを獲得し、単走優勝を決めて、決勝トーナメントでもファイナル進出を果たした。
FDJ3 Round.1 3位
前田慶(VE86)
予選3位を獲得し、ファイナル4に進出。ファイナル4で優勝した飯島優惺に敗れるも、最後まで果敢に攻めた走りは見事だった。
FDJ3.Round.1 4位
皆川 一茶(S15)
予選では78ポイントを獲得し、12位で決勝トーナメントに進出。徳山昇英、上原詠太(S15)の15歳勢を倒してファイナル4進出を果たした。
FDJ3 Round.1 5位
酒匂 千利(JZX100)
昨年もFDJ3に参戦し、シリーズランキング20位を獲得。予選を6位で通過し、グレイト8進出を果たす。グレイト8では、3位に輝いた前田慶に敗れたが、5位を獲得した。
FDJ3 Round.1 6位
茂木 真那斗(RPS13)
予選9位で通過し、グレイト8で2位に輝いた。中村龍輝と対戦。ワンモアタイムとなるも、ワンモアタイムのスタート地点でマシントラブルを発生、リタイアとなった。
FDJ3 Round.1 7位
ARISA(GR86)
昨年はS15で参戦し、シリーズランキング31位だったが、今年はGR86に変更し、豪快なドリフトを連発。グレイト8で敗退も8位を獲得した。
FDJ3 Round.1 8位
上原 詠太(S15)
15歳の高校1年生。予選13位で通過し、ワンモアタイムの末、予選4位のリッキーペレス(JZX100)を倒し、グレイト8進出を決めた。
FDJ3 Round.1 9位
リッキーペレス(JZX100)
FDJ3 Round.1 13位
尾崎 ドグラス(JZX100)
FDJ3 Round.4 15位
高宮 悠樹(JZX110)
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)