2025 FDJ2 Rd2 鈴鹿ツイン レポート&リザルト

チャンピオンか、それともルーキーか、
最後に勝利の女神が微笑んだのは誰!?

FDJ2は今年もワンメイクレースとして、横浜ゴムプレゼンツで開催される。使用タイヤはYOKOHAMA ADVAN NEOVA AD09。さらに今年から新たな試みとして、「MID WHEELS」のワンメーカー・ワンメイクホイールのルールを採用し、年間エントリー者には、「MID WHEELS」のホイールが6本無償提供され、MID RACINGのR06、R07、R25、R26、TR50の5種類から選択できるという形での開催となった。これでタイヤ&ホイールは同一条件となり、イコールコンディションにより近い形で開催されている。

富士スピードウェイで行われた開幕戦は、FDJ3の昇級組と新しく参戦してきた選手が表彰台を独占。第2戦ではこれまでFDJ2で戦ってきたドライバーが巻き返せるかに注目が集まった。

第2戦の会場は、鈴鹿ツインサーキット。梅雨前だというにも関わらず、予選日は雨となり、ウエット路面での勝負となった。今回はリタイアが相次ぎ、エントリー46台中予選を走行したのは36台となった。

FDJ2のスタートゲート。

MID WHEELSにYOKOHAMA ADVAN NEOVA AD09を装着したタイヤ&ホイール。

鈴鹿ツイン、ゼロの恐怖!
ハードなウエット路面が選手を狂わす

ルーキーが活躍した開幕戦に続き、5月17(土)~18日(日)に三重県にある鈴鹿ツインサーキットで開催された、FDJ2第2戦。審査は1コーナーから2コーナーにかけて1ゾーンと2ゾーンを設け、続くヘアピンコーナーに3ゾーン、その後タッチアンドゴー、4ゾーンを経て、フィニッシュとなる、鈴鹿ツインサーキットお馴染みのレイアウト。第1戦の高速バトルから一転、テクニカルなバトルへと舞台を移した。

開幕戦はFORMULA DRIFT JAPANとの併催で行われたため、予選通過台数は16台だったが、今回は単独開催となり、予選通過台数も32台へ大幅増加となった。

予選日の天候は雨。しかも前日はドライ路面で、サーキットが主催する練習走行も行われており、タイヤラバーが路面に乗った状態のハードなウエット路面での予選となった。そんな予選は、スピンや戻り、振り遅れにより得点に出来ないドライバーが続出。1本目から厳しい戦いとなった。

ほとんどのドライバーがウエット路面に苦戦するなか、1本目から高得点を獲得したのは、開幕戦27位の秦 錫鈞(E92)。81ポイントを出し、会場を沸かせる。しかし後半に登場した開幕戦7位の中村総士郎(S15)が、秦 錫鈞の得点を上回る88ポイントで大きく引き離し、トップに立つ。

2本目に入り、雨は上がるも路面はウエット路面のまま。しかも終盤には晴れ間も見えてさらに難しい路面状況となり、多くの選手を苦しめる。それでも昨年の奥伊吹ラウンドで優勝した小林竜也(JZX100)が78ポイント、前年度シリーズチャンピオンの長瀬幸治(IS350C)が80ポイントを出して追い上げるも、1本目の中村総士郎には及ばず、そのまま中村総士郎が単走優勝を果たした。予選2位は81ポイントの秦錫鈞、予選3位は80ポイントの長瀬幸治が入った。

得点が入れば通過するという状態だったが、得点を残せず0ポイント(ゼロ)で終了したドライバーが6名出て、予選通過は28台となった。開幕戦5位の小林知彦(ZN6)、11位のHINATO(JZX100)など得点を残せず、ゼロで第2戦を終了した。

予選トップの88ポイントを出した、中村総士郎(S15・日本環境開発RACING with VALINO)

予選終了後に行われた、トップ32表彰式。

予選日から天気は一転
ドライ路面で行われた追走トーナメント

予選日から天気は一転してドライ路面での開催となった決勝トーナメント。予選通過が28台となったため、予選1位から4位まではトップ32は不戦勝となり、そのままトップ16進出を果たした。

トップ32は、予選上位が順調に勝ち進む展開のなか、予選12位の井上スチュアート(S15)が予選21位の杉崎先生(S15)に敗れてしまう。さらに予選15位の青木竜介(JZX100)対 予選18位のMSG MINAMI(S13)は勝敗が付かずワンモアタイムへ。この対決もワンモアタイムの末、MSG MINAMIが勝ち上がりを決めて、予選上位だった青木竜介はここで姿を消した。

トップ16からは予選1位から4位もバトルを開始。予選1位の中村総士郎は、トップ16で予選16位の出口公信(S15)、グレイト8で予選8位の水野俊彦(S15)を破り、ファイナル4進出を果たす。ウエットでもドライでもラインを外さない走りは見事だ。

予選2位の秦 錫鈞は、トップ16で予選18位のMSG MINAMIと対戦。トップ32でも予選上位を倒して勝ち上がったMSG MINAMIは、ここでも攻めの走りで秦 錫鈞を倒し、さらにグレイト8でも予選10位の川瀬羚也(S14)を破り、ファイナル4へ進出する大躍進を遂げた。

予選3位の長瀬幸治と予選4位のセナ(JZX100)は、並みいる強敵を倒してファイナル4進出を決めて、予選上位の走りを見せつけた。

ファイナル4で先に対戦したのは、予選3位の長瀬幸治と予選18位のMSG MINAMI。長瀬幸治先行の1本目、車間距離を詰めながらの後追いで攻めるMSG MINAMIだが。3ゾーンでやや苦しくなる。MSG MINAMI先行の2本目は、長瀬幸治も負けずに車間距離を詰めた後追いをみせる。1本目の長瀬幸治の先行の走りの良さと、MSG MINAMIの後追い時の距離は良いが角度が浅くなった点で、この勝負は長瀬幸治が勝ち、ファイナル進出を決めた。

グレイト8でのセナ 対 小林竜也がワンモアタイムでの決着となったため、後に行われたのが、予選1位の中村総士郎と予選4位のセナの対決。セナは開幕戦に続き、2戦連続でのファイナル進出。中村総士郎先行の1本目、完璧な先行の走りを見せる中村総士郎に、セナも食らいつく走りで対抗する。セナ先行の2本目は、先行の走りをしっかりするセナに対し、ピッタリと車間距離を詰める中村総士郎。この勝負は、先行の差で中村総士郎の勝ちとなった。

さあ、残すはファイナル。昨年のFDJ2の鈴鹿ツインラウンドでは、中村総士郎の父である中村進太郎(現在はFDJ1)がファイナルに進出して与座ハリーに敗れて2位で終わったが、息子の中村総士郎は父を越えて優勝できるかという点でも興味深いファイナルとなった。その中村総士郎とファイナルで対戦するのは、昨年度シリーズチャンピオンの長瀬幸治。予選3位からここまで勝ち上がっていきた。

ファイナル、中村総士郎先行の1本目は、ここでも中村総士郎が安定感ある走りをみせる。後追いの長瀬幸治もやや脱輪はあったものの距離を詰めてアングルを付けた走りで対抗する。しかし長瀬幸治先行の2本目、スタートディレイで仕切り直しとなったが、長瀬幸治のマシンにトラブルが発生。ここで長瀬幸治はリタイアとなり、中村総士郎がこのファイナルを勝利。今年FDJ2へ初挑戦の中学生ドライバーが、第2戦で早くも頂点の座を獲得。同時に見事父親越えをした瞬間だった。2位は長瀬幸治、3位は2戦連続表彰台のセナが獲得した。

これでシリーズランキングは、158ポイントの中村総士郎(日本環境開発RACING with VALINO)、2位は152ポイントのセナ(White River with WAKOS)、3位は140ポイントの江崎台地(KIRAPOWER × KFK with 走乱)、4位は120ポイントの長瀬幸治(Team KaZama)、5位は104ポイントの水野俊彦(チームZERO)、6位は102ポイントのラッセル(RPM PARTS)となった。

第3戦は、6月7日(土)~8日(日)に福島県エビスサーキット西コースで行われる。まだまだ目が離せないチャンピオン争い。そしてルーキー対ベテランドライバーの熱きバトルに注目だ。

FDJ2 Round.2 優勝
中村総士郎(S15)
昨年はFDJ3に参戦してシリーズ4位。FDJ2初挑戦の開幕戦は7位だったが、今回は単走優勝からトーナメントでも優勝し、パーフェクトウィンを飾った。シリーズランキングも1位に浮上した。

優勝した中村総士郎。仮表彰で勝利宣言を受けて観客にアピール。

仮表彰。優勝の中村総士郎(中央))、2位の長瀬幸治(左)、3位のセナ(右)。

ステージトラックで行われた表彰式。優勝の中村総士郎(中央))、2位の長瀬幸治(左)、3位のセナ(右)。

ステージでの表彰式の後、上位3名によるトークショーも行われた。

FDJ2 Round.2 2位
長瀬幸治(IS350C)
昨年のシリーズチャンピオン。開幕戦では14位と出遅れているも、今回気迫の走りで準優勝。シリーズランキングも4位に浮上した。

FDJ2 Round.2 3位
セナ(JZX100)
昨年もFDJ2に参戦し、シリーズ14位を獲得。今年は開幕戦2位、今回3位と絶好調で見事な滑り出し。現在、シリーズランキング2位。このままシリーズチャンピオンを狙う。

FDJ2 Round.2 4位
MSG MINAMI(S13)
ウエット路面の予選は、18位で通過。ドライでの決勝トーナメントに入ると次々と予選上位を倒してファイナル4に進出した。ミスの少ない走りが光り、今後も注目の選手だ。

FDJ2 Round.2 5位
小林竜也(JZX100)
開幕戦は予選落ちとなってしまうも、持ち前のテクニックで今回は5位を獲得。いつでも勝てる実力を持つ。

FDJ2 Round.2 6位
木村楓雅(JZX100)
予選6位とウエットでもドライでも安定した上手さをみせ、決勝トーナメントでも6位を獲得した。

FDJ2 Round.2 7位
水野俊彦(S15)
開幕戦でも6位と健闘し、今回も迫力のある走りで上位を狙ったが、予選8位、決勝7位でフィニッシュ。

FDJ2 Round.2 8位
川瀬羚也(S14)
常に注目を集める18歳のドライバー。今年はマシントラブルに悩まされつつも。予選10位、決勝8位を獲得。シリーズランキングも8位でまだまだチャンピオンを狙える位置にいる。

FDJ2 Round.2 9位
秦 錫鈞(E92)
ウエット路面の予選では、目の覚めるような走りで2位を獲得。決勝トーナメントはトップ16で敗れるも、9位を獲得した。

FDJ2 Round.2 10位
江崎台地(S15)
開幕戦で優勝に輝き、今回も予選7位から優勝を狙ったが、トップ16でマシントラブルでリタイア。悔しい第2戦となった。

FDJ2 Round.2 11位
稲岡優樹(R34)
開幕戦で4位と健大闘したが、今回は予選9位からトップ16に進出するも、ここで敗退。11位で終了した。

FDJ2 Round.2 12位
ラッセル(RPS13)
開幕戦3位で注目を集め、第2戦も予選11位と健闘。トップ16で敗れ12位で終わった。シリーズランキングは6位。

FDJ2 Round.2 13位
北芝倫之(ZN6)
開幕戦は予選敗退だったが、今回は13位で通過。ベテランらしい技を駆使した走りで、トップ16進出を果たした。

FDJ2 Round.2 14位
出口公信(S15)
予選16位からトップ16に進出。開幕戦は18位で予選敗退となったが、今回はその雪辱を果たし、トップ16に進出した。

FDJ2 Round.2 15位
山口洋平(S15)
予選19位からトップ16に進出。これで開幕戦から2連続トップ16入りを果たした。

FDJ2 Round.2 16位
杉崎先生(S15)
予選は21位もトップ32で予選上位の井上スチュアートを破り、トップ16進出した。

コース上で行われた、トップ16セレモニー。

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)