世界に羽ばたく15歳
箕輪大也が魅せたドリフトテクニック
ケン グシが悲願の初優勝を果たし、感動のなか幕を閉じた開幕戦。その1ヶ月後の開催となった第2戦は、三重県の鈴鹿ツインサーキットで開催された。6名の選手が不参戦となったが、47台が予選に出走。予選は雨が強く降りしきるなかで厳しい路面状況下での戦いだったが、翌日の決勝トーナメントは、ドライ路面。迫力ある追走ドリフトをサーキットに訪れた多くのファンの前で魅せてくれた。
ウエット路面のなか抜群の
コントロール感を披露する
今年のFORMULA DRIFT JAPANは、例年以上に海外選手が多数出場している。開幕戦で優勝したケン グシは、沖縄出身だが、現在はLA在住の世界で活躍するドライバーで、毎戦LAから日本にやってくる。そして今年から参戦し、開幕戦から活躍するジェイク ジョーンズ、タイの若手ドライバー・ミンミンやポップ、中国の夏 昌浩、香港の朱 元路、古くから参戦するシェン ニアンやシアム ベンジャミンなど、日本在住を含めると20名を越える。まさに世界から注目を集めているドリフト競技となっている。さらに今年は、2名のスーパーGTやスーパーフォーミュラで活躍するドライバーも参戦。ドリフト業界だけでなく、幅広い世界で話題となっている。
予選日は午前中の練習走行はドライ路面で行われたが、午後からの予選が始まる前から雨が強く降り出し、路面激変のウエットへ。そこで予選1本目、各選手のスタート前にチェックランを入れてからの走行となった。難しい路面状況で、得点を獲得出来なかったドライバーも多かったが、そんななかでもいち早く路面状況を把握して高得点を獲得する選手も少なくなかった。
1本目、ラインをキレイにトレースした走りで82ポイントを獲得し、トップに立ったのは、朱 元路(E92)。しかしその11番後に出走した濵田清文(JZX100)が、86ポイントを獲得する。その後、第1戦で活躍した選手が登場する後半に入ると、ユキオ ファスト(S15)、RYUMA(JZX100)が80ポイント、ジェイク ジョーンズ(RBM3)が81ポイントと、80ポイント越えが続出。そして第1戦で3位を獲得した高橋和己(E92)が登場し、これでもかという迫力あるドリフトで、89ポイントを叩き出し、トップを奪取。続く第1戦2位の箕輪大也も髙橋和己同様にラインで32ポイント獲得する好走をみせて84ポイントと、ハードなウエット路面でも高度なテクニックでハイレベルな戦いを繰り広げた。
雨脚がさらに強くなった予選2本目、1本目に0ポイントだったダニエル(S13)が起死回生の81ポイントで予選突破への希望をつなげる。1本目77ポイントだった草場佑介(GR86)も86ポイントと得点を大きく伸ばすも、トップの高橋和己の89ポイントには及ばない。2本目のラストで登場したケングシ(IS500)が豪快なドリフトでトップタイとなる89ポイントを獲得するも、2本目に83ポイントを獲得した高橋和己を交わすことは出来ず、2位。単走優勝は、高橋和己が獲得した。
トラブル続出の決勝トーナメント
激しいドリフトバトルで魅せた32台
予選日の天気とは一変し、ドライ路面で行われた、決勝トーナメントも、予選以上に見応えある戦いが続いた。昨日の予選を1位で突破した高橋和己は、予選32位のシアム ベンジャミン(S15)、予選16位の葉 志成(A31)、予選8位の松山北斗(A90)を倒してファイナル4進出を果たす。
予選2位のケングシは、グレイト8で予選7位の箕輪大也と対戦。第1戦のファイナルでの組み合わせが早くも実現となった。しかし今度は箕輪大也が勝利し、ファイナル4進出を決める。
予選3位の山中真生(A90)は、トップ16で山下広一(E92)と対戦。かなり激しい戦いとなった2度のワンモアタイムの末、山下広一が勝ち上がりを決めて、山中真生はここで姿を消した。山下広一は、グレイト8で予選11位の濵田清文(JZX100)と対戦。僅かな差をものにした山下広一が勝利し、ファイナル4へ勝ち上がった。
予選4位の草場佑介は、トップ16で予選20位の小橋正典(A90)と対戦。この対戦もワンモアタイムとなり、激戦を繰り広げる。ワンモアタイムでは、アグレッシブな走りを見せた小橋正典が草場佑介を破り、グレイト8進出を果たした。小橋正典はグレイト8で同じTeam ORANGEの若手ドライバーで予選12位通過のRYUMA(JZX100)も破ってファイナル4へ進出する。
ファイナル4の1組目、高橋和己 対 小橋正典は、1本目の先行時に抜群の走りを見せた小橋正典だったが、後追いの2本目、3ゾーンでの脱輪があり、その減点でここで敗退。ファイナル進出は、高橋和己となった。
ファイナル4の2組目は、箕輪大也と山下広一の対戦。箕輪大也先行の1本目、スタート直後に山下広一のマシンがスローダウン。ドリフト出来ずに終わる。マシントラブルで走行不可能となった山下広一はコンペディションタイムアウト(5分間ルール)をすでに使用しているため、ここでリタイア。箕輪大也の勝ちとなった。
第2戦のファイナルは、予選1位の高橋和己 対 予選7位の箕輪大也の対戦となった。これまで3回対戦して、箕輪大也の2勝1敗。今年チャンピオンを狙う上でどうしても勝ちたい高橋和己は、1本目先行の走りを決めていく。箕輪大也も車間距離を詰めていく好バトルとなった。2本目は箕輪大也が先行。この2本目で高橋和己の脱輪等のミスもあり、この勝負は箕輪大也が勝ち取った。箕輪大也は、この鈴鹿ツインサーキットは、FORMULA DRIFT JAPANで初優勝した思い出の地。ここで優勝し、シリーズチャンピオンに向けて、大きな1勝となった。準優勝は高橋和己、3位には山下広一が入った。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 優勝
箕輪大也(GRカローラ)
第1戦2位、そして第2戦で優勝と、今シーズン絶好調。アメリカのフォーミュラDでも最年少優勝を果たすなど、破竹の勢いを見せる。
仮表彰。優勝の箕輪大也(中央)、2位の高橋和己(左)、3位の山下広一(右)。
トップ16セレモニーでファンに車内から手を振る2位の高橋和己。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 2位
高橋和己(E92)
ウエット路面で改心の走りを見せて、予選1位で通過。決勝トーナメントでも相手を寄せ付けぬ強さを見せたが、ファイナルでは箕輪大也に敗れて2位。しかし2戦連続で表彰台をゲットした。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 3位
山下広一(E92)
前年度シリーズチャンピオンは、今年も健在。第1戦は4位と表彰台は逃したものの、今回は3位をゲット。存在感のある走りで今年も突っ走る。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 4位
小橋正典(A90)
予選は20位だったが、常に予選順位が高い相手を倒して、ファイナル4進出を果たす。ファイナル4では高橋和己に敗れはしたものの、コースをフルに使ってのドリフトは見応えありだった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 5位
ケン グシ(IS500)
開幕戦では、念願の優勝を獲得して勢いに乗り、今回は予選2位からグレイト8進出。グレイト8では優勝した箕輪大也に敗れて5位に終わった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 6位
松山北斗(A90)
今年は、子供たちの夢を乗せた、ハッピーセット仕様のスープラで参戦。今回は予選8位を獲得し、グレイト8進出を果たした。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 7位
濵田清文(JZX100)
今年からFD JAPANに参戦、開幕戦でもトップ16入りを果たし、今回も予選11位からグレイト8進出を果たす。確実に順位を上げて調子も良いドライバーのひとりだ。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 8位
RYUMA(JZX100)
予選12位を獲得し、グレイト8に進出。グレイト8では同チームの小橋正典と対戦し、惜しくも敗退となった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 9位
山中真生(A90)
予選3位と好調な滑り出しを見せたが、トップ16で山下広一と対戦し、2度のワンモアタイムの末、敗退となった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 10位
草場佑介(GR86)
ラインをキッチリ取る走りで予選4位を獲得したが、トップ16で小橋正典に敗退。10位に終わった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 11位
ジェイク ジョーンズ(RBM3)
今年から参戦で、開幕戦では6位を獲得するなど、存在感をアピールする。豪快な走りで今回も予選5位を獲得したが、トップ16でRYUMAに敗れて11位に終わった。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 12位
ユキオ ファスト(S15)
常に魅せる走りでギャラリーを沸かせる男。予選は6位で突破するもトップ16で濵田清文に敗れて12位。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 13位
葉 志成(A31)
昨年から参戦し、豪快なドリフトで見せ続けるドライバー。今年は第2戦からの参戦となったが、予選を16位で突破し、トップ16まで勝ち進んだ。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 14位
松井有紀夫(F22)
予選18位で通過し、トップ32で予選15位の張 盛鈞を破り、トップ16入りを果たした。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 15位
堀野 仁(GR86)
予選は23位で通過し、予選10位のMr.ダニエルを倒してトップ16入り。
FORMULA DRIFT JAPAN Round.2 16位
麻植隆太郎(FD3S)
予選24位で通過し、トップ32では予選9位の朱 元路を倒してトップ16に進出した。
今回からFORMULA DRIFT JAPAN全参戦選手がプリントされたのぼりも設置された。
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)