ルーキーかベテランか!?
誇りと意地を賭けたドリフトバトル
今年から参戦する若いルーキードライバーの活躍が目立つFDJ3。しかしこれまでドリフト界を引っ張ってきたベテランドライバーも多く参戦してきている。第3戦の舞台は、世界中からドリフトファンが訪れるドリフトの聖地、エビスサーキットの西コースで開催される。審査コーナーは、昨年新設された8の字型の特設コース。このコースレイアウトで行われているのは、FDJだけの特別なステージとなる。路面コンディションはドライ。最高の舞台で最高のコンディションでの開催となった。
一糸乱れぬドリフト炸裂!
超若手軍団大活躍!!
今年もヨコハマタイヤの「ADVAN APEX (アドバン エイペックス)V601」を装着し、タイヤ・ワンメイクレースとして開催されている、FDJ3。ADVAN APEX V601は、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤで、非対称トレッドパターンが特長。どんな環境においても使いやすいタイヤとして注目を集めている。そんなADVAN APEX V601の実力を発揮して激しいドリフトバトルが行われているのだ。
第3戦は福島県のエビスサーキット西コースで開催され、昨年から採用された2アウトゾーンをコンクリートウォールで覆った8の字型コースが、今年も審査コーナーとして登場した。このコースレイアウトは1ゾーンが本来のコースレイアウトよりも内側に切り込んでいくレイアウトとなり、長い2ゾーンはコンクリートウォールに沿って走っていく。そこからインクリップを通り、タッチアンドゴー、3アウトゾーン、そしてフィニッシュとなる。
この第3戦には41台が予選に出走。決勝トーナメントへの通過ラインとなる16台の狭き枠を争う。まず1本目に79ポイントの高得点をマークしたのは、佛坂圭人(S14)。平均的にまとめた形だ。しかしその2台後に出走した高宮悠樹(JZX110)が、角度あるドリフトで84ポイントを獲得し、トップに立つ。その後、玉谷柊真(JZX100)が81ポイントを獲るなど、攻めた走りを見せ、予選1本目から盛り上げる。さらに皆川一茶(S15)が高宮悠樹に並ぶ84ポイントを獲得し、激しい単走優勝争いとなった。しかしこのままでは終わらないのが今年のFDJ3。ラスト2人目で登場した茂木真那斗がラインを決めた走りで87ポイントを出し、一気に単走優勝争いのハードルを上げる。1本目の最後に登場したのは、現在シリーズランキング1位の中村龍輝(S15)。しかし中村龍輝は、得点を獲得出来ずに1本目を終了した。
予選2本目、誰が茂木真那斗の87ポイントを上回ることが出来るのか、という点に注目が集まるなか、今年はこのエビスからの始動となった青木改斗(JZX100)が79ポイント、上原詠太(S15)が82ポイント、リッキー ペレス(JZX100)が81ポイントと、高得点を上げていくがなかなかトップに立つことがなく進んでいく。1本目に84ポイントを獲得し勢いに乗る皆川一茶だったが、2本目は82ポイントに終わる。そんななか、茂木真那斗の87ポイントと同点としたのが、徳山昇英(GC10)。1本目は3輪脱輪のコースアウトとなり0点に終わるもここは意地を見せた走りだった。しかし茂木真那斗も2本目には自身の得点を上回る88ポイントをマークし、単独トップに立つ。誰もがこれで決まりだろうと思ったが、最後のひとりとなる中村龍輝が茂木真那斗の得点を超える89ポイントを出して、一気にトップに立ち、単走優勝を獲得した。最後まで盛り上げた茂木真那斗は、1ポイント差の2位となった。3位は87ポイントの徳山昇英、4位は84ポイントの皆川一茶が入った。5位は同84ポイントの高宮悠樹となった。
誰が勝利するかわからない
大激戦となった決勝トーナメント
基本的に決勝トーナメントは、予選順位の良い方が勝ち上がるというのが常だが、今回もFDJ3は大荒れの展開となった。
予選1位の中村龍輝は、予選16位の星野マルコス(JZX100)、予選9位の佛坂圭人を破り、乱れのない攻めのドリフトで勝ち上がり、ファイナル4進出を果たす。
予選2位の茂木真那斗も予選15位の田村行稔(RPS13)、予選10位の前田 慶(VE86)を倒してファイナル4に進出。
予選3位の徳山昇英は、予選14位の宮城憂梨愛(FD3S)を倒してグレイト8に勝ち進むが、グレイト8で対戦した青木改斗戦で1本目終了後にマシンに不具合が発生。コンペディションタイムアウト(5分間ルール)を使用してマシン修復を図ったがここでリタイアし、青木改斗がグレイト8進出を果たした。
予選4位の皆川一茶は、トップ16で予選13位の船橋 竜と対戦。この対戦を制してグレイト8進出を果たす。しかし予選12位の飯島優惺(JZX90)をワンモアタイムで破った予選5位の高宮悠樹にグレイト8で敗れ、ここで敗退。高宮悠樹はファイナル4に進出した。
ファイナル4の1組目は、絶好調の走りを見せる中村龍輝 対 苦しみながらも強敵を倒して勝ち上がってきた高宮悠樹。落ち着きある走りでベテランらしくキレイにラインをトレースする高宮悠樹の前に、中村龍輝は敗れ、ここで予選1位が姿を消した。
ファイナル4の2組目は、乱れないドリフトの茂木真那斗と、今年初戦ながらも安定感ある走りを見せる青木改斗の対戦。ともに引かぬ走りを見せるも、ここは茂木真那斗に軍配が上がり、ファイナル進出となった。
ファイナルは予選2位の茂木真那斗と予選5位の高宮悠樹の対決。今年デビューの14歳にベテランの高宮悠樹が挑む形だ。ともに力を出し切ったファイナルは、茂木真那斗が優勝し、常に惜しい位置にいながらも勝てず、悲願だった優勝を手に入れた。2位は久しぶりの表彰台となった高宮悠樹、3位は単走優勝の中村龍輝が入った。
第3戦終了時点で、シリーズランキング1位は茂木真那斗、2位は中村龍輝の10代ドライバーが競い合う形となった。3位は飯島優惺、4位は前田慶、5位に尾崎ドグラスと続く。毎回優勝者が変わる今年のFDJ3は、シリーズの行方はまだまだわからない。
FDJ3 Round.3 優勝
茂木真那斗(S14)
単走優勝は獲っているものの、総合優勝は初となった今回。予選から良い走りを連発し進入から全く乱れないドリフトは、もはやベテランの域に達しているのではないだろうか。
表彰式。優勝した茂木真那斗(中央)、2位の高宮悠樹(左)、3位の中村龍輝(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。左から、2位の高宮悠樹、優勝の茂木真那斗、3位の中村龍輝。
優勝した茂木真那斗(左)と父親でドリフトドライバーの茂木武士(右)
FDJ3 Round.3 2位
高宮悠樹(JZX110)
今年からFDJ3に参戦するドリフトドライバー。ドリフト競技は少し休んでいたが、昔から乗っているJZX110で見事復活。ベテランらしいテクニックで安定した走りを見せてくれた。
FDJ3 Round.3 3位
中村龍輝(S15)
予選1本目はよもやの0ポイントとなってしまったが、2本目は果敢に攻めの走りでトップ得点を獲得し、単走優勝に輝いた。決勝トーナメントではファイナル4に進出した。
予選2本目で89ポイントを獲得して、単走優勝に輝いた中村龍輝の走り。
FDJ3.Round.3 4位
青木改斗(JZX110)
今年はこのエビスラウンドが初出走となったが、予選11位を獲得してファイナル4まで勝ち進んだ。
FDJ3 Round.3 5位
徳山昇英(GC10)
予選3位からグレイト8に勝ち進むも、2本目リタイアとなったが5位を獲得。
FDJ3 Round.3 6位
皆川一茶(S15)
予選から安定した走りをみせて好調をアピール。予選4位からグレイト8進出を果たした。
FDJ3 Round.3 7位
佛坂圭人(S14)
なかなか勝ちきれないレースが続くが、決めたときの破壊力は抜群の選手。今回は予選9位からグレイト8に勝ち進んだ。
FDJ3 Round.3 8位
前田 慶(VE86)
予選10位を獲得し、トップ16では予選7位のリッキー ペレスを倒すなど、その実力を発揮した。
FDJ3 Round.3 10位
リッキー ペレス(JZX100)
FDJ3 Round.3 16位
星野マルコス(JZX100)
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)