超新星、現る!
日光で覚醒したリッキーペレスに大注目!!
10代の若いドライバーが活躍するFDJ3だが、毎回スターが登場し、大会を面白くしてくれている。第3戦ではベテランドライバーが2位に入り、感動的なファイナルとなったが、栃木県の日光サーキットで行われた第4戦も見応えある大会となった。日光サーキットは古くからグリップやドリフト走行で人気で、日本で一番忙しいサーキットと呼ばれていた。FDJ3シリーズも後半戦に突入。シリーズチャンピオンを狙うには最も大事な1戦となる。
高レベルで激化する単走バトル
最高のラインを通って豪快に走り抜ける
タイヤ・ワンメイクレースとして開催されている、FDJ3。そのワンメイクレース用として選出されたのが、ヨコハマタイヤの「ADVAN APEX (アドバン エイペックス)V601」だ。ADVAN APEX V601は、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤで、非対称トレッドパターンが特長で、どんな環境においても使いやすいタイヤとして注目を集めている。そんなADVAN APEX V601の実力をフルに発揮して激しいドリフトバトルが行われている
第4戦は、古くからドリフトのメッカとして人気の日光サーキット。本来であれば、最終コーナーからドリフトで進入し、ホームストレートを抜けて、豪快に1コーナーに進入する。そこから6コーナーまでドリフトをしていくというのが、オーソドックスなドリフトコース。しかしFDJ3では、正周りでの走行は同様だが、FDJ2でも使用したショートカットを使ったFORMULA DRIFT JAPANならではのオリジナルコースを使用。ホームストレートにスタート地点を設け、1コーナー手前に1アウトゾーン、1コーナーに2アウトゾーン、その奥に3アウトゾーンを設置。そこからショートカットを使い、4アウトゾーンを抜けてフィニッシュとなる。
8月開催、灼熱の炎天下で行われたFDJ3は、天候にも負けない熱い戦いが繰り広げられた。予選1本目、中澤ブユ(RPS13)は、1番手というプレッシャーをはねのけ、74ポイントを獲得。3番手にスタートした井藤寛人(RPS13)も77ポイントを獲得し、混戦のFDJ3に拍車をかけた。その後、関根俊幸(S15)が75ポイントを出すも、やはりこのテクニカルな難コースに苦しむ選手も多く、77ポイントの井藤寛人が中盤までトップをキープする。
しかし17番手スタートの稲見 亮(JZX100)が78ポイントで1ポイント上回り一時トップに立つも、天野直樹(JZX100)が83ポイントでトップに立った。そして1本目に87ポイントの高得点を出してきたのは、リッキー ペレス(JZX100)だ。開幕戦から予選通過するも決勝トーナメントのトップ16で敗退が続き、現時点でのシリーズランキングは10位といった選手。その後、第2戦以降調子を上げている皆川一茶(S15)が77ポイント、ハコスカでチャレンジ中の徳山昇英(GC10)が83ポイント、第1戦の覇者である飯島優惺(JZX100)が82ポイント、前田 慶(AE86)が84ポイントを出すも、リッキー ペレスには追いつけない。シリーズランキング1位の茂木真那斗(S14)と2位の中村龍輝(S15)も80ポイント台の得点を出すことはなく、1本目が終了した。
2本目も攻めの豪快なドリフトでチャレンジする選手が続くなか、やはりラインや脱輪による減点で、なかなか得点を伸ばすことができない。唯一徳山昇英が80ポイントを獲得するも、最後までリッキーペレスが獲得した87ポイントは抜けずに終わった。
予選1位はリッキーペレス、2位は84ポイントの前田 慶、3位は83ポイント(セカンドベスト80ポイント)の徳山昇英、4位は83ポイント(セカンドベスト64ポイント)の天野直樹となった。
ランキング上位が苦戦
まさに下克上のラウンドとなった。
予選から波乱となった第4戦は、ランキング5位の尾崎ドグラス、7位の高宮悠樹(JZX110)が予選で敗退し、シリーズ争いから大きく脱落。ランキング1位の茂木真那斗が予選13位、2位の中村龍輝が予選14位と苦戦が強いられたなかで行われた、追走の決勝トーナメント。
予選1位のリッキー ペレスは、トップ16で予選16位の箕輪昌世(JZX100)と対戦し、ワンモアタイムにもつれ込む。技ありのテクニックを見せる箕輪昌世だったが、勢いあるリッキー ペレスに軍配が上がり、辛くも予選1位の実力を発揮した。その後予選9位の皆川一茶を倒してファイナル4入りを果たす。予選2位の前田慶も好調だ。予選15位の関根俊幸、予選7位の田村行稔(RPS13)を破りファイナル4に勝ち上がる。
トップ16で注目の対決となったのは、予選3位の徳山昇英対予選14位の中村龍輝戦だ。この戦い、すんなり終わるはずもなく、ワンモアタイムへ。ワンモアタイムでは徳山昇英がライン良く走り、もはや強敵となった中村龍輝を倒し、さらに予選11位の百瀬 豊(PS13)を倒してファイナル4進出を果たした。
予選4位の天野直樹は、トップ16で予選13位の茂木真那斗と対戦。しかしこのトップ16で茂木真那斗に敗れて姿を消した。茂木真那斗は、グレイト8に勝ち上がってきた予選12位の上原詠太(S15)も破り、ファイナル4入りを果たした。
ファイナル4は、予選1位から3位、そして第3戦終了時点でランキング1位という、本日乗れているドライバーと実力上位の戦いとなった。
リッキー ペレスは茂木真那斗と対戦。しっかりとラインを取るリッキーペレスに対し、茂木真那斗はラインがやや乱れて敗退となり、本日1番乗れているリッキー ペレスの勝利となった。前田 慶 対 徳山昇英も激しいバトルとなったが、この戦いも予選上位の前田 慶が勝ち上がり、ファイナルは予選1位対2位の対決となった。
ファイナルは、リッキー ペレス先行の1本目走行終了後、2本目を前にして前田慶のマシンにパワステトラブルが発生し、直らずにリタイア、最後まで走り切ったリッキーペレスが第4戦の王者となった。
第4戦終了時点で、シリーズランキングは茂木真那斗が295ポイントでトップを死守し、トップ16敗退の中村龍輝が237ポイントで2位。3位には前田 慶が213ポイントで追い上げてきたという展開。少し離れてはいるも、176ポイントの徳山昇英と174ポイントのリッキー ペレスが猛追する。逆に第1戦で優勝した飯島優惺は151ポイントと離されてしまった。残り2戦は、滋賀県の奥伊吹モーターパークと第1戦同様のつくるまサーキット那須。飯島優惺がシリーズに望みをかけるには、奥伊吹モーターパークで上位の成績を獲得し、開幕戦で優勝してきた最終戦のつくるまサーキット那須で勝利するしかない。想像を絶するドラマが生まれるFDJ3、最後まで注目してもらいたい。
FDJ3 Round.4 優勝
リッキー ペレス(JZX100)
今回の優勝で、シリーズランキングも10位から5位に大きくジャンプアップ。3戦連続トップ16敗退を覆す活躍に、今後も台風の目となるであろう存在だ。
仮表彰での勝ち名乗りを受け、人差し指を突き出して1位をアピールするリッキーペレス。
表彰式。優勝したリッキーペレス斗(中央)、2位の前田 慶(左)、3位の徳山昇英(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。左から、2位の前田 慶、優勝のリッキーペレス、3位の徳山昇英。
FDJ3 Round.4 2位
前田 慶(VE86)
ファイナルではパワステトラブルでリタイアとなったが、予選2位から決勝トーナメントも2位を獲得し、シリーズランキングも3位に浮上した。
FDJ3 Round.4 3位
徳山昇英(GC10)
見応えがあったのは、グレイト8での前田慶(VE86)との戦い。両者ともに一歩も引かない攻めのドリフトだった。勝敗は前田慶に上がったが、ハコスカドリフトの神髄を見せた見事な走りだった。
予選1本目で87ポイントを獲得、単走優勝に輝いたリッキーペレスの走り。
FDJ3.Round.4 4位
茂木真那斗(S14)
予選1本目で0ポイントとなってしまい、苦しい展開になるも、予選13位からファイナル4進出を果たし、4位を獲得。シリーズランキングも2位に58ポイント差を付けた形となった。
FDJ3 Round.4 5位
田村行稔(RPS13)
予選7位からグレイト8に勝ち進み、5位を獲得シリーズランキングも8位に上がった。
FDJ3 Round.4 6位
皆川一茶(S15)
予選9位を獲得し、前回に続き今大会も6位。シリーズランキングは7位に上昇した。
FDJ3 Round.4 7位
百瀬 豊(PS13)
第3戦終了時点で、シリーズランキングは20位だったが、今回予選11位、決勝トーナメント7位を獲得して、シリーズランキングも16位まで上がった。
FDJ3 Round.4 8位
上原詠太(S15)
トップ16で予選5位でランキング3位(第3戦終了時点)の飯島優惺(JZX90)を破り、グレイト8進出を果たした。これでシリーズランキングも10位に浮上した。
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)