2025 FD JAPAN Rd5 奥伊吹 レポート&リザルト

大激闘のストリートコース
奥伊吹決戦の行方

早くも後半戦に突入した2025年度のFORMULA DRIFT JAPAN。ここまで、まだ2勝を挙げた選手はなく、均衡状態で迎えた第5戦は、スキー場へ向かう通路と駐車場を利用して設定された特設コースが舞台となる。普段行われているサーキットよりもコースと観客席の距離が近くなり、迫力のドリフトを間近で見ることができることで人気のコースだ。今年も多くのギャラリーが集まって行われ、例年以上の大激戦となった。ランキングトップを走る高橋和己、それを追う箕輪大也とケングシ。さらに新たなヒーローが誕生か、注目の一戦となった。

子供たちの夢を乗せて走る
GRスープラ ハッピーセット号がトップに立つ!

今年の夏は暑い。9月に入ったとはいえ、第5戦が行われたグランスノー奥伊吹ラウンドは暑かった。しかしこれまでの予選ウエットを覆し、路面はドライ。最高のコンディションで行われた。

今回の舞台となった、グランスノー奥伊吹は、ストリート特設コースでの戦いとなる。スタート地点も上り坂に設置されており、マシンにも負担がかかる。しかも1コーナーには壁が立ちはだかり、クラッシュは命取りになりかなないリスキーなコースだ。

予選1本目、9番手でスタートしたコンクリートウォールコースが得意の、葉 志成(イェ ジチョン A31)がギリギリまで攻めた走りで83ポイントを獲得し、いきなり魅せる。それに続くかのように、大湯都史樹(GR86)も84ポイントを獲得。今回の第5戦でもレベルの高い走りが連発した。

しかしまだ1本目なのに、それで終わらない。今度は山中真生(A90)が高い進入速度から一気に審査コーナーを駆け抜け、88ポイントを出し、2位以下を引き離す。その後もRYUMA(JZX100)が82ポイント、ケングシ(IS500)が80ポイント、箕輪大也(GRカローラ)が81ポイントと上位陣も80ポイント越えを出してくるも、1本目終了時点では山中真生の圧倒的な走りが光った。

2本目、1本目に83ポイントだった葉 志成(イェ ジチョン)が85ポイントを出し、得点を上げてくる。大湯都史樹も進入から果敢に攻めの走りを見せるも80ポイントと伸ばすことはできない。山中真生の2本目は、1本目以上を狙ってくるも得点に出来ず。それでもトップを死守する。しかしそれで終わることはなかった。次にスタートした松山北斗(A90)が90ポイントを獲得し、山中真生を抜きトップに立った。1本目は73ポイント止まりだったが、得点が伸びなかった箇所を見事に修正した結果だった。小橋正典(A90)が82ポイント、ケングシが1本目同様の80ポイント、高橋和己(E92)が82ポイントを獲得したが、松山北斗90ポイントで単走優勝に輝いた。2位は88ポイントの山中真生、3位は85ポイントの葉 志成(イェ ジチョン)、4位は84ポイントの大湯都史樹が入った。

3年振りの優勝!
復活の狼煙を上げた意地のドリフト

何が起こるかわからない……それが特設コースで行われる、グランスノー奥伊吹ラウンド。今回も予選上位陣がそのまま勝ち上がるといった通常の構図ではなく、波乱含みの展開となった。チャンピオン争いに重要な一戦となった今回、シリーズランキング2位の箕輪大也(予選8位)、このコースには断然上位と思われていた予選3位の葉 志成(イェ ジチョン)がトップ32で姿を消す大波乱。ともに調子が良かっただけに考えにくい結果となった。

予選1位の松山北斗は、予選32位の冨手和行(JZX100)、予選17位の山下広一(E92)を倒してグレイト8進出を果たす。順調かと思われたが、グレイト8で対戦した予選9位のケングシに敗退。ケングシは第1戦以来となる優勝を目指す。

予選2位の山中真生は、トップ32で予選31位の目黒雄大(JZX100)を下してトップ16入りするも、トップ16で対戦した予選15位の草場佑介(GR86)に敗退。その草場佑介もグレイト8で対戦した予選7位の小橋正典に敗れてしまう。

予選3位の葉 志成(イェジチョン)を倒してトップ16に勝ち上がった高璇(ガォウ エコー S13)は予選19位の濵田清文(JZX100)に敗れて姿を消す。今回予選6位から決勝トーナメントに挑んだ、シリーズランキング1位の高橋和己(E92)は予選27位の雨谷雄一(S15)、予選22位の松井有紀夫(F22)を倒して、グレイト8進出を果たし、濵田清文と対戦。ここで濵田清文を破り、ファイナル4進出を果たす。これでグレイト8までに、予選1位から3位までが姿を消す事態となった。

予選4位の大湯都史樹は、決勝トーナメントに入ってからも勢いがある。予選29位のシアム ベンジャミン、予選13位の益山航(GR86)を倒してグレイト8まで勝ち上がる。グレイト8では、予選12位の田中友紀(JZX100)と対戦。田中友紀も勢いある走りで攻めてきたが、後追いの1本目、コンクリートウォールにマシンをぶつけて大破。これでリタイアとなり、大湯都史樹がファイナル4進出を決めた。

ファイナル4の1組目はチームカザマ決戦となった、大湯都史樹 対 ケングシ。この時点で大湯都史樹は、ドリフト競技参戦5戦目で表彰台が確定した。しかし大湯都史樹の挑戦は、ここで終わらなかった。同チームで本場FORMULA DRIFTにも参戦するケングシを下して、初のファイナル進出となった。

ファイナル4の2組目は、現在ランキングトップの高橋和己 対 予選7位から強い勝ち方でファイナル4に進出してきた小橋正典。どちらも引かぬ激しいドリフトだったが、小橋正典が競り勝ち、ファイナルに進出した。

ファイナルは、大湯都史樹 対 小橋正典。進入からスピードあるドリフトで攻めたてる2台のバトルは、見応えのある激しい戦いとなったが、この勝負を制したのは、小橋正典だった。これまでも善戦はするものの、3年も遠ざかっていた小橋正典の優勝は、感動的なものとなった。2位は大湯都史樹、3位は高橋和己が入り、シリーズチャンピオン争いは、385ポイントの高橋和己がかなり有利なものとなった。

シリーズランキング2位の箕輪大也は今回トップ32敗退で得点を伸ばすことは出来ずに313ポイントとなり、これでトップとの差は72ポイント。それでもまだ逆転でシリーズチャンピオンを狙える位置にいる。すべては最終戦の岡山国際サーキットに持ち越された形だ。シリーズランキング3位は、今回優勝した小橋正典が309ポイントで急浮上した。ランキング4位は、ファイナル4で敗退したケングシ。282ポイントとなり、この第5戦でシリーズチャンピオンの夢は消え、チャンピオン争いは、上位3名に絞られた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 優勝
小橋正典(A90)
これまで勝ちきれない戦いが続いていたが、待ちに待った優勝を勝ち取った。シリーズランキングも5位から3位にジャンプアップ。

4年振りにFORMULA DRIFT JAPANで優勝を決めた、小橋正典のガッツポーズ。

仮表彰。優勝の小橋正典(中央)、2位の大湯都史樹(左)、3位の高橋和己(右)。

優勝の小橋正典とチーム関係者。

メインステージで行われた表彰式。

表彰式後に行われたトークショー。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 2位
大湯都史樹(GR86)
ドリフト競技に参戦して5戦目となる今回、初のファイナルに進出して準優勝はお見事。スピード感あるドリフトは、今後のドリフトを変える予感さえした。

2位の大湯都史樹とチーム関係者。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 3位
高橋和己(E92)
第4戦で優勝し、今回3位。今期は5位以下がないという安定ぶりで、あとはシリーズチャンピオンを獲得するのみだ。

3位の高橋和己とチーム関係者。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 4位
ケングシ(IS500)
開幕戦で優勝し、常に上位で戦ってきた。今回は同チームの大湯都史樹に敗れ4位。これでシリーズチャンピオンは消えたが、今期2勝目となる最終戦での優勝を目指す。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 5位
松山北斗(A90)
スピードある走りで、一気にトップドライバーとなったが、今回接触もあり苦しいレースが続く。

単走優勝した松山北斗の走り。

単走優勝した松山北斗とA90スープラ・ハッピーセット号。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 6位
田中友紀(JZX100)
気迫溢れる走りでギャラリーを沸かせるも、コンクリートウォールでクラッシュ。しかしその闘志には拍手が送られた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 7位
草場佑介(GR86)
第3戦の優勝後、勝ちきれない戦いが続くが、今回もグレイト8に進出し、その実力を見せつけた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 8位
濵田清文(JZX100)
予選19位から決勝トーナメントに進出し、グレイト8まで勝ち進む。安定したレース運びで今回も魅せた。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 9位
山中真生(A90)
予選2位を獲得するも、トップ16で草場佑介に敗退した。シリーズランキングは10位。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 10位
ユキオ ファスト(S15)
予選から豪快なドリフトでギャラリーを沸かせる走りを見せた。決勝トーナメントでは優勝した小橋正典に敗退し、10位となった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 11位
益山 航(GR86)
今年は徐々に調子を上げ、益山航らしい走りを披露。今回も豪快なドリフトでトップ16進出を果たした。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 12位
山下広一(E92)
昨年のシリーズチャンピオンで、4度目のチャンピオンを目指したシーズンだったが、今回も12位で終わった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 13位
松井有紀夫(F22)
予選22位からマシンの調子も上げて、トップ16進出を果たした。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 14位
中村マイキ(GRS204)
予選25位から決勝トーナメントに進出。トップ32で箕輪大也を破り、トップ16入り。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 15位
塙  彰拡(DGR)
予選28位からトップ32で予選5位のRYUMAを破りトップ16に勝ち上がった。

FORMULA DRIFT JAPAN Round.5 16位
高璇(ガォウ エコー S13)
トップ32で予選3位の葉 志成(イェ ジチョン)を倒してトップ16に進出した。

トップ32表彰式。

Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)