ドリフト新時代到来!
10代ドリフターが上位を独占!!
FORMULA DRIFT JAPANは、今年で12年目のシーズンとなるが、今シーズンで3年目を迎えたFDJ3も大きな飛躍を感じる年となった。特に10代の若手ドライバーの筆頭だ。13歳の中村龍輝、14歳の茂木真那斗、15歳の徳山昇英、16歳の前田 慶、上原詠太、19歳の飯島優惺の6名がエントリーし、それぞれが今期成績を残している。しかもこの10代が上位争いを繰り広げるたけでなく、シリーズチャンピオン争いをしているから驚きだ。そんなFDJ3も残り2戦となった。第5戦となる奥伊吹ラウンドは、今後の彼らの人生を大きく左右してくる大会になるかも知れない。そんな期待感を抱きながらスタートしたラウンドとなった。
新レイアウト対決は
強い10代が上位を独占
FDJ2とFDJ3はワンメイクで行われているドリフト競技だ。FDJ2はタイヤ・ホイールをワンメイクとし、FDJ3はタイヤのみのワンメイクとなる。FDJ3でワンメイクレース用として選出されたのが、ヨコハマタイヤの「ADVAN APEX (アドバン エイペックス)V601」。非対称トレッドパターンが特長で、GRカローラRZに純正採用されたスポーツタイヤ。ADVAN APEX V601は、どんな環境においても使いやすいタイヤとして注目を集めており、その実力をフルに発揮して激しいドリフトバトルが行われているのだ。
第5戦の舞台は、滋賀県にある奥伊吹モーターパークで行われた。FDJ2 第5戦も同様のコースで行われ、今年から新レイアウトに変更し、FDJ3も同じコースレイアウトでの勝負となった。
奥伊吹モーターパークのスペースを最大限に使い、カーブしながら1コーナーに進入する形で1アウトゾーンを目指す。インクリップを通って2アウトゾーン、右コーナーが連続する3アウトゾーン、そして1アウトゾーンを逆走するように進入する4アウトゾーンを抜けてフィニッシュとなる。気持ちよくアクセルを踏んで抜けていくコーナーが多く、魅せるドリフトが可能となるコースだ。しかしコースアウトなどの減点もしやすく、アウトゾーン等のライン取りをいかに友好的に使っていくかがポイントになる。
練習走行はハーフウエットで行われたが、予選が始まる前には路面も回復してドライになり、ベストな体制での戦いとなった。
単走予選1本目、ラインを外してしまうドライバーが多く、豪快にドリフトを決めているように見えても、得点を伸ばせない展開が続く。そんななか、13番手で出走した中澤ブエ(RPS13)が、77ポイントを獲得。なかなかその得点を超えられない状況が続いたが、シリーズランキング4位の徳山昇英(GC10)が77ポイントで追いつくと、シリーズランキング3位の前田慶(VE86)が79ポイント、シリーズランキング2位の中村龍輝(S15)83ポイントと、ランキング上位陣が高得点をマークしていく。
予選2本目もやはりライン取りに苦しむドライバーが続出して得点も思うように伸ばせない。1本目に77ポイントの中澤ブエも2本目は0ポイントに終わる。1本目77ポイントだった徳山昇英が82ポイントを獲得し2位へ上がる。次に走行した前田 慶がそれを上回る85ポイントを獲得し、中村龍輝の83ポイントを交わしトップへ。このまま終わるのかと思ったが、次に走行した中村龍輝が他を大きく引き離す90ポイントを叩きだし、トップに返り咲く。予選はそのまま終了。予選1位は中村龍輝、予選2位が前田 慶、予選3位が徳山昇英、予選4位が上原詠太(S15)、予選5位には茂木真那斗(S14)が入り、10代が上位を独占した。
引き離しにかかる
10代パワーが圧倒
予選上位を独占した10代が追走に入ってからも目を見張る走りを続出。どうしてもこのラウンドをモノにしてシリーズランキングを上げたい予選1位の中村龍輝は、予選16位のARISA(ZN86)、予選8位の青木改斗(JZX100)を破り、ファイナル4進出を果たす。
予選2位の前田 慶も好調だ。予選15位の谷川弘和(GRX130)、ワンモアタイムの末にリッキー ペレス(JZX100)を倒してグレイト8に進出した予選7位の玉谷柊真(JZX100)を破って、ファイナル4に進出。
予選3位の徳山昇英も予選14位の船橋 竜(Z33)、予選6位の茂木真那斗(S14)を倒してファイナル4へ。グレイト8で徳山昇英が倒した茂木真那斗は、トップ16で飯島優惺(JZX90)と対戦。この第1戦 優勝者(飯島優惺)と第2戦優勝者(茂木真那斗)の対決は、ワンモアタイムとなり、それを制して勝ち上がった茂木真那斗だったが、よもやのグレイト8敗退となった。
予選4位の上原詠太もかなり乗れている走りを見せて、予選13位の藤田翔一(JZS151)、予選12位の佛坂圭人(S14)を倒して、ファイナル4進出を果たした。
ファイナル4へは、予選1~4位が順当に勝ちあがった形だ。ファイナル4の1組目、中村龍輝と上原詠太の対決。中村龍輝先行の1本目、2アウトゾーンで上原詠太がややラインを乱すシーンはあったが、他は2台共にラインを取りまとめていく。上原詠太先行の2本目、車間距離を詰めていく中村龍輝だったが、2ゾーンで接触があった。審査員の判定は、接触の原因は中村龍輝にあり、上原詠太の失速の原因を作ったという判断。結果、この接触が勝負の分かれ目となり、上原詠太が勝ち上がりとなった。上原詠太は初のファイナル進出となる。
ファイナル4の2組目は、前田 慶と徳山昇英の対決。第4戦のファイナル4でもこのふたりの対決があり、日光ラウンドでは前田 慶が勝利した。前田 慶先行の1本目、2台共にラインとキレイに取った走りを見せた。2本目は徳山昇英先行。2本目も共に決めた形の追走となった。ハチロク対ハコスカ。このオールドマシンでの若手対決は、興味深いし何度でも見たいシーンだ。この勝負は徳山昇英が第4戦のリベンジを果たし、勝利した。勝負の決め手は前田 慶後追いの2本目で、2ゾーン立ち上がりから3ゾーンへのアプローチで大きく振られてしまうシーンがあり、それが減点となった。
ファイナルはどちらが勝っても今期初勝利となる、徳山昇英と上原詠太の対決。徳山昇英先行の1本目、車間距離を詰めていく後追いの上原詠太。終始ビタビタの走りをみせた。上原詠太先行の2本目、後追いの徳山昇英もキレイに先行のラインをトレースしながら車間距離を詰めていく。どちらも理想的な追走となった。
この勝負に勝利したのは、徳山昇英。後追いはどちらも完璧に近い形だったが、上原詠太先行時にタイヤ1本分の脱輪があったこと、インカットしたことの僅かな差で勝負を喫した。仮表彰は、初優勝の徳山昇英の胴上げで締めくくった。
さて、これでかなり面白くなってきたのが、シリーズチャンピオン争い。トップを走るのは、338ポイントの茂木真那斗。今回は5位という結果だったが、トップを死守した形だ。2位は303ポイントの中村龍輝が付ける。その差は35ポイント。もし中村龍輝が最終戦で優勝し、茂木真那斗がファイナル4で敗れる形となれば、逆転もあり得るのだ。3位は280ポイントの徳山昇英、4位は278ポイントの前田 慶、5位は196ポイントのリッキーペレス、6位は191ポイントの上原詠太と続く。5位以下はかなりシリーズチャンピオンとなるとかなり厳しい戦いとなるが、4位までの10代ドライバーに絞られた形となった。誰がチャンピオンを獲っても10代という快挙。2025年のFDJ3は記念すべきドリームイヤーの年になりそうだ。
FDJ3の最終戦は、11月23日(日)栃木県の「つくるまサーキット那須」で行われる。そしてこの戦いが今年の全FDJシーズンのラストバトルとなる。



FDJ3 Round.5 優勝
徳山昇英(GC10)
走行後のコメント:「前回、やっと表彰台の3位に上ることができて、でもファイナル4で敗れてとても悔しくて……。今回、リベンジも果たせてファイナルに進出できたことは嬉しかったです。ファイナルではミスもあったのですが、やっと優勝することができて本当に嬉しいです」
コース上で行われた仮表彰で、勝ち名乗りを受けてガッツポーズの徳山昇英。
表彰式。優勝した徳山昇英(中央)、2位の上原詠太(左)、3位の中村龍輝(右)。
ファイナル終了後に審査員席前のコース上で行われた仮表彰。左から、2位の上原詠太、優勝の徳山昇英、3位の中村龍輝。
FDJ3 Round.5 2位
上原詠太(S15)
走行後のコメント:「このラウンド5まで思ったような結果が出なくて苦しい時期もあったのですが、ここでやっと結果を出せて嬉しいです」
FDJ3 Round.5 3位
中村龍輝(S15)
走行後のコメント:「とにかく悔しいです。最終戦こそは勝ちます」
予選2本目で90ポイントを獲得、単走優勝に輝いた中村龍輝の走り。
単走優勝に輝いた中村龍輝(左)。プレゼンターは横浜ゴムの斎藤さん。
FDJ3.Round.5 4位
前田 慶(VE86)
ファイナル4で第4戦同様、徳山昇英と対戦。今回は敗れてしまったが、4位を獲得。シリーズランキングは4位。
FDJ3 Round.5 5位
茂木真那斗(S14)
優勝した徳山昇英とグレイト8で対決。敗退し5位に終わるも、シリーズランキングは1位をキープ。
FDJ3 Round.5 6位
玉谷柊真(JZX100)
予選7位から決勝トーナメント進出を果たし、トップ16では第4戦で優勝したリッキーペレスにワンモアタイムの末、勝利した。
FDJ3 Round.5 7位
青木改斗(JZX100)
トップ16では予選9位の黒田真由と対戦し、ワンモアタイムを制してグレイト8に勝ち進んだ。
FDJ3 Round.5 8位
佛坂圭人(S14)
予選12位だったが、予選5位の中澤ブユにトップ16で勝利。上原詠太にグレイト8で敗れるも8位を獲得し、シリーズランキングも13位に上昇した。
FDJ3 Round.5 11位
リッキーペレス(JZX100)
Photo:NOBUTOSHI KANEKO(金子信敏)













